ついにファイナルシーズンに突入した『ベター・コール・ソウル』。大ヒット作『ブレイキング・バッド』の前日譚ドラマは、シーズンを重ねるごとに本家へと近づいていくのも見どころです。シーズン6はNetflixにて毎週火曜日に配信されます。第4話のあらすじや見どころを早速チェック!(エピソードの解説などネタバレを含むため、視聴されてから読むことをおすすめします。)
『ベター・コール・ソウル』概要
配信日:2015年2月8日
ジャンル:犯罪、サスペンス、ヒューマン・ドラマ
製作国:アメリカ
話数:全63話、1話約45~50分(全6シーズン)
日本語吹き替え:あり
シーズン5のあらすじをおさらい
ジミーはソウル・グッドマンに名前を改名し、弁護士として再スタートを切る。長年の腐れ縁だったソウルとキムはついに結婚し、キムは独立して公選弁護人として働き始めることに。
麻薬カルテルの内部抗争でガスことグスタボ・フリングとラロ・サラマンカが対立し、ナチョはガスに脅されラロを裏切ることになり情報を集める。
ソウルはラロに刑務所にいるドミンゴの釈放を依頼され、保釈金700万ドルを取りに行くことになってしまう。
保釈金を取りに行く際襲撃を受けたソウルはマイクと共に砂漠をさまよい、命からがら生還する。ガスはナチョの手引きでメキシコの自宅にいるラロを襲撃するが、ラロは逃げ切り行方をくらます。
シーズン6 第4話あらすじ
キムとソウルはハワードの車の鍵をコピーし娼婦のウェンディの助けを借りて、ハワードのビジネス・パートナーであるクリフォード・メインのハワードへの信用を落とす計画を実行する。
キムは自分を尾行する車がいることに気付いて自分なりに対処するが、その後マイクがキムを訪れ尾行についての説明をしキムは驚く。
裁判所ではソウルがカルテルと関連していることが噂になり裁判所での冷遇に困惑するが、犯罪者の間でソウルのことが評判になり仕事の依頼が急増する。
ラロの行方は依然不明のままで、ガス・フリングは防弾チョッキと銃を携帯して万が一の時のために備えていた。
シーズン6 第3話のレビューはこちらをチェック↓
『ベター・コール・ソウル』評価
IMDb:8.9(10点中)
おすすめ度:★★★★★
ストーリー:★★★★★
エンタメ性:★★★★☆
感動:★★★★☆
シーズン6 第4話の見どころ
ソウル&キムの計画
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ソウルとキムのハワード・ハムリンをはめる計画が、第4話で明らかになります。第3話ではヒューエルの助けを借りてハワードの車の鍵をコピーしましたが、鍵を使った計画については語られませんでした。
ソウルはハワードが運転しているように見せるため、ハワード風のスーツと髪型、日焼けメイクを施して変装します。意外によく似合っていて、イケメンに変身していたのが何だか笑いを誘いました。
二人の計画は短い時間で実行しなければならず、途中トラブルがあったりと観ているこっちはヒヤヒヤ…。
たとえ危ない橋を渡ってもサンドパイパーの和解金を早期決着させようとする、ソウルとキムの本気度がよく分るエピソードです。
ちなみにあのシーンではハワードの車だと分かりにくいのでは?と思いますが、ハワードの車のナンバープレートは「NAMAST3」でかなり個性的。
高級車ジャガーと「NAMAST3」のナンバープレートは、ハワード以外にいないというわけです。
ソウルの新オフィス
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ソウルがカルテルの弁護士ということが犯罪者たちの間で知られるようになり、ソウルの事務所に多くの顧客が訪れるようになります。
この顧客の中に、『ブレイキング・バッド』でジャンキーのスプージ役で出演したデヴィッド・ユリーがいました。
筆者は全く気付きませんでしたが、米サイトInsiderに記事が載っていたのを見て知り気が付く人はすごいなと感心。
今までネイルサロンの一角をオフィスとして借りていましたが、手狭になり新しいオフィスを探すことに。ソウルの新オフィスとなる懐かしのあの場所が登場し、ますます『ブレイキング・バッド』に近づいてきました!
レイ・シーホン初監督エピソード
第4話はキム役のレイ・シーホンが、初監督を務めたことでも話題になっています。
主演キャストがエピソードの監督を務めるのはめずらしくなく、番組の世界観を知り尽くしいるからこそ監督デビューとしてはうってつけなのでしょう。
冒頭の家のシーンから、『ベター・コール・ソウル』の持つ雰囲気がよく出ていたように感じました。
ガスの家の解説(ネタバレを含みます。)
ラロの行方は依然不明のままで、ガスはいつ襲撃されるか分らない状態。ガスはラロが生きていると信じ、防弾チョッキを装着し銃を携帯して万が一のために備えています。
ガスの家の仕様も見事で、通り全体が見渡せる防犯カメラを設置し24時間監視しているのがすごい。隣の家をシェルターとして利用し、地下にある秘密の通路から出入りしています。
周囲からは一つの家に出入りしているように見えますが、実際ガスは別の場所にいるということ。
冒頭で登場する自転車に乗ったライマン夫婦はガスに雇われており、外から見るとこの家はライマン夫婦のもの。ガスは夫婦をカモフラージュに使うことで、身の安全を守っています。
赤い家の意味は?(『ブレイキング・バッド』のネタバレを含みます。)
筆者の考察ではないのですが米サイトSCREENRANTに赤い家の意味の解釈があり、なるほどと思ったので参考までに解説したいと思います。
第4話の冒頭で赤い家が登場し、ライマン夫妻がトマトみたいでひどい色だと文句を言っています。やたらと目立つ不快な赤色は、ガス・フリングに危険をもたらす意味を持つようです。
赤い家の背後にある深い意味については、『ブレイキング・バッド』で描かれる赤色の持つ意味を見返す必要があります。
ヴィンス・ギリガンの世界では色が重要な役割を担っており、赤は暴力、攻撃、対立が起こることを示すものとして使われてきました。
『ブレイキング・バッド』のシーンでリディアがウォルトに毒を盛られたときは赤いカップ、ジェシーがゲイルを撃つときは赤い服、と赤は暴力や攻撃を意味するカラーモチーフとして使われています。
第4話で登場する赤い家はガスの家がある通りにあり、ガスに危険が迫っているというサインを示唆しているというもの。
印象的な赤い色はガスがラロの状況を完全に制御できなくなったことを意味し、近い将来ガスとラロの対決が描かれる可能性が高いという解説になっています。
キムの運命と青色が持つ意味は?(第3話と『ブレイキング・バッド』のネタバレを含みます。)
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筆者が一番気になるのがキムの運命。第3話でナチョに起きた出来事を考えると、『ブレイキング・バッド』に一切登場しないキムも同じ運命をたどるのではないかということ。
これに関する解釈もSCREENRANTにおもしろい説があったので、紹介したいと思います。第3話の冒頭では乾燥した荒れ地に咲く、鮮やかな青い花が映っていました。
ヴィンス・ギリガンの世界では、青色は死を意味するカラーモチーフとして使われているようです。『ブレイキング・バッド』でジェーンは青い服を着て死に、墜落した515便を称える飛行機事故のリボンは青色です。
ナチョが死んだ場所には青い花が咲いていて、『ブレイキング・バッド』のメタファーのカラーと調和しています。
この青い花はナチョとキムをつなぐ橋渡し役的な役割を果たしているという推測で、キムは青色の服を好んで着ておりスーツもネイビー系が多い。
第1話の冒頭でテキーラのボトルの蓋がクローズアップされますが、このテキーラ「Zafiro Añejo(サフィロ・アネホ)」のボトルの色は青色でナチョが亡くなった場所に咲いた花と同じサファイアブルーです。
『ベター・コール・ソウル』のサファイアブルーに秘められた意味を考えると、テキーラのボトルの色はソウルとキムの関係を示しキムの運命が不明であることから、ナチョの死を考えると気になる前兆となるはずであるというもの。
キムももしかしたら死んでしまうのでしょうか…?『ブレイキング・バッド』ではウォルターが作るクリスタルメスは独特な青色で、通称ブルー・メスと呼ばれていました。
ウォルターが亡くなるときには「Baby Blue」という曲が流れるなど、『ブレイキング・バッド』と『ベター・コール・ソウル』で、青色は死を意味するカラーモチーフとして使われているという解説です。
こういう解説を読むと、ヴィンス・ギリガンの世界は奥が深い!と感心してしまいます。次からはもっと注意しながらエピソードを観なくては…。
ボブ・オーデンカークの次回作は?
『ベター・コール・ソウル』の主役ジミー・マッギル(ソウル・グッドマン)を演じる、ボブ・オデンカークの次回作が既に決定しています。
オデンカークはAMCネットワークが製作する、リチャード・ルッソの小説が原作の『Straight Man(原題)』に出演&プロデュースすることが正式に発表されています。
『ブレイキング・バッド』『ベター・コール・ソウル』もAMC製作で、オーデンカークはすっかりAMCの顔になっていますね。
オーデンカークはペンシルベニア州の資金不足に悩む大学の英語学部学科長、ウィリアム・ヘンリー・デヴロー・Jrを演じます。
パイロット版の脚本家&監督は『ジム・キャリーはMr.ダマー』『メリーに首ったけ』『グリーンブック』を手掛けたピーター・ファレリーが務める予定で、2023年に放送予定。おもしろい作品になりそうで楽しみです!
シーズン6のネット上での評判は?
ベター・コール・ソウル/BCS S6E4:いやーある場面ではゾクゾクが止まらなかったし、またしても0.1秒も目が離せなくてもう終わり?と思った。レイ・シーホーン初監督回なんだよね👏 そして久しぶりの顔がチラホラと。ああファイナルなんだなあと(たぶん)思わなくていいところで思ってしまった… pic.twitter.com/09fQlGMzz9
— こわる (@kowalski_ne3) May 3, 2022
『ベター・コール・ソウル』S6E3まで。大傑作すぎて震え止まらず。構図も照明も全てが完璧すぎる撮影の連続、寸分の狂いもない編集。演出の足し引きの塩梅が素晴らしい作品こそ優れた作品だと思うのだが、『BCS』はその「引き算」が上手すぎる。削ぎ落とすべきものをわかっている。無駄が、1秒も、ない pic.twitter.com/kuQcTkw7Q0
— モリドン (@moridon71) April 29, 2022
シーズン6第4話を視聴した感想
キム役のレイ・シーホンの初監督エピソードということもあり、楽しんで視聴。第3話の衝撃展開の後は、これくらいのペースダウンでちょうどよかったなという印象です。
少しずつ『ブレイキング・バッド』へ近づいていくのを、ひしひしと感じる仕上がりでした。ヴィンス・ギリガンの世界はいろいろと細かいところに意味があることも分り、来週のエピソードはさらに気合を入れて観たいと思います。
参照記事:Better Call Saul: What That Red House Really Means (Why It’s Bad For Gus)