イギリスが抱える社会問題に切り込んだ、キャリー・マリガン主演のリミテッド・シリーズ。ピザ店の配達員射殺事件から、イギリス社会の闇が暴かれていく社会派サスペンスに仕上がっています。本作のキャストや見どころなどを、ネタバレなしでレビュー♪
『コラテラル 真実の行方』概要
ジャンル:クライム、ミステリー、サスペンス、ヒューマン・ドラマ
製作国:イギリス
話数:全4話、1話約60分
日本語吹き替え:あり
『コラテラル 真実の行方』あらすじ
ピザ店の配達員アブドラが配達先で射殺される事件が起き、警部補のキップ・グラスビーが捜査に当たる。
ベトナム人のリンが事件を目撃するが、不法滞在中に麻薬を所持していたことからリンの恋人で聖職者のジェーンが難しい立場になってしまう。
キップはアブドラの姉妹に話を聞くが、何かを隠していて本当のことを話さない。アブドラが配達中にドラッグの販売をしていたため、ピザを注文したカレン・マーズにも疑いの目が向けられる。
カレンの元夫で野党上院議員のデヴィッド・マーズは、元妻に振り回される生活に嫌気が指していた。
射殺事件の関係者が新たに遺体で見つかり、キップはファティマと取引して重要な情報を引き出し、アブドラが誰に狙われていたのか証拠を突き止める。
『コラテラル 真実の行方』感想&評価
ROTTEN TOMATOES:批評家スコア79% 視聴者スコア68%
IMDb:6.7(10点中)
総合評価:★★★☆☆
ストーリー:★★★☆☆
エンタメ性:★★☆☆☆
感動:★★☆☆☆
キャリー・マリガン主演ということで期待して視聴したのですが、全4話にいろいろな物語を詰め込み過ぎて多少風呂敷を広げ過ぎた印象です。
もう少し長めのエピソード数にするか、内容を少し削ってすっきりしてもよかったのでは?と思えてしまいます。
ピザ配達員が射殺されそこからさまざまな問題が描かれていくのですが、登場人物が多く多数の物語を並行して描いているため、気を付けて観ていないと置いてけぼりを食ってしまうかもしれません。
事件を追う刑事ドラマと言うより、イギリスの社会問題を浮き彫りにしたヒューマン・ドラマという印象です。
いろいろ惜しい点が多くテーマも重いですが、キャリー・マリガンの演技は素晴らしいし見て損はないと思います。
全4話なので短い時間で観られるのがいいし、エピソード数の少ないサスペンスやヒューマン・ドラマを観たいというときにおすすめです。
『コラテラル 真実の行方』キャスト
キップ・グラスピー(キャリー・マリガン)
元走高跳の選手という、異色のキャリアを持つ警部補。ピザ配達員射殺事件は昇進後初の担当で、事件解決に奔走する。
ネイサン・ビルク(ナサ二エル・マーテル=ホワイト)
キップの相棒。捜査において、自分がないがしろにされていると感じている。
サンドリン・ショー(ジーニー・スパーク)
陸軍大尉で戦争のPTSDに苦しんでいる。上官のダイソンに付きまとわれ、心のバランスを失っていく。
デヴィッド・マーズ(ジョン・シム)
野党上院議員。元妻のカレンとの間に娘がおり、離婚してから7年経っても振り回されている。
ジェーン・オリバー(二コラ・ウォーカー)
同性愛者の聖職者で、リンの恋人。リンが問題を起こしたことから、神父から圧力をかけられる。
リン・スアン・フイ(カエ・アレキサンダー)
ベトナム人の学生でイギリスに不法滞在中。ピザ配達員射殺事件を目撃したことから、トラブルに巻き込まれてしまう。
カレン・マーズ(ビリー・パイパー)
上院議員のデヴィッド・マーズの元妻。二人の娘がいることから、一生面倒を見ろと元夫をさんざん振り回す。
ファティマ・アシフ(Ahd)
射殺されたピザ配達員のアブドラの姉。事件の真相を知っているが、イギリス政府や警察を信用せず口を閉ざしたまま。
『コラテラル 真実の行方』見どころ・解説・考察
シリアスな社会派ドラマ
イギリス製ドラマらしく全体が冷たく暗い印象に包まれていて、ダークな作風が好きな方はハマるのではないでしょうか。
刑事ドラマというより、現在のイギリスの社会事情を犯罪事件に反映させて描きたかったのかなという印象を受けました。イギリスの抱える社会問題に鋭くメスを入れた内容で、重厚な社会派ドラマに仕上がっています。
目くるめく人間模様
本作は登場人物が多く、最初から情報多めでストーリーに追いつくのが大変です。
ピザ配達員射殺事件、女性陸軍大尉のPTSDと軍のセクハラ問題、ファティマと妹の物語、聖職者の同性愛、元議員と元妻の物語…、と多数の物語がシンクロして描かれています。
たくさんの物語を全4話に詰め込み過ぎて、逆にそれぞれの物語を掘り下げる余裕がなく終わってしまったという印象です。
少々盛り過ぎて物語の軸がブレてしまった感じですが、目くるめく人間模様はおもしろく見応えがありました。もう少し余裕を持たせて、全8話くらいで掘り下げて描いたらもっとよかったかも?という印象です。
イギリスが抱える社会問題
イギリスが抱える社会問題にメスを入れたドラマで、ピザ配達員射殺事件から重大な社会問題が次第に炙り出されていきます。
移民問題、密入国、テロリズム、セクシャル・ハラスメント、LGBT、パワハラ、PTSDと問題がてんこ盛り。
特に移民問題や密入国に関しては、戦火を逃れて普通の生活を望んでいるだけなのに、さまざまな制約のため普通の生活すらままならない人々の姿が浮き彫りにされ胸が痛くなりました。
ピザ配達員がなぜ射殺されたのかも、イギリスの抱える闇を象徴していていろいろと考えさせられるはず。
『コラテラル 真実の行方』のネット上での評判は?
#コラテラル 真実の行方 Netflixドラマ
傑作。デビッドエアー脚本、キャリーマリガン主演の骨太ポリティカルサスペンス。全4回なので長めの映画を見たよう。タイトで緊張感あふれる演出、警察・陸軍・MI5の三つ巴のスリリングな駆け引き。そして重要人物は全て女性。驚くほどに抑えた演出がBBC印。 pic.twitter.com/9cvPxMcksF
— galarina (@galarina512) August 26, 2021
『コラテラル 真実の行方』ロンドンでその日に限って配達順を変えられたピザ配達員が射殺された、政治や移民問題、スパイの暗躍、戦争の傷跡等々…盛り沢山の根深い闇を女刑事が紐解く。全4話にまとめてるのがスゴい。キャリー・マリガンの刑事役ってイメージ無かったけどクールで良かった。 #ネトフリ pic.twitter.com/vuBZ8e2QgK
— Ru-fu. (@ru_fu_ru_fu) March 11, 2018
『コラテラル 真実の行方』まとめ
いろいろ惜しい点が多かったものの、イギリスが抱える社会問題を犯罪事件と絡めて描いていて見応えがありました。
全4話と短いため時間がないけれど、じっくり腰を据えてドラマ鑑賞したいときにおすすめです。Netflixに加入されている方は、ぜひチェックしてみてください♪