Netflixドラマ『BEEF/ビーフ ~逆上~』あおり運転から始まる復讐劇、人間のドス黒さを炙り出すダークコメディ

出店元:https://pocculture.com/

NetflixがA24とコラボした、見応えたっぷりの復讐劇。人間のドス黒い部分を炙り出す見事な脚本と素晴らしい演技で、クオリティの高いドラマに仕上がっています。本作のキャストや見どころなどを、ネタバレなしで早速チェック!



『BEEF/ビーフ ~逆上~』概要

製作・配給:Netflix
配信日:2023年4月6日
ジャンル:ダーク・コメディ、ヒューマン・ドラマ
監督:ジェイク・シュライアー、イ・サンジン、HIKARI
製作国:アメリカ話数:全10話、1話約30~40分
日本語吹き替え:なし

『BEEF/ビーフ ~逆上~』あらすじ

ダニーは個人で工事業者をしているが業績は芳しくなく、無職の弟ポールが居候していて金銭問題に直面している。

る日駐車場で高級車と接触しそうになり、相手の運転手の態度に腹を立てカーチェイスに発展するが見失ってしまう。

ダニーは車のナンバーを照会し、起業家のエイミー・ラウだと突き止める。ダニーは復讐を開始するが、エイミーもSNSを使って反撃していく。

エイミーはアーティストの夫ジョージと娘と暮らしているが、いつも仕事が忙しく家族と過ごす時間がなくストレスを抱えていた。

ダニーとエイミーの心の奥底にたまった怒りと復讐心が、家族をも巻き込んでいく。

『BEEF/ビーフ ~逆上~』感想&評価

ROTTEN TOMATOES:批評家 98% 視聴者スコア 87%
IMDb:8.3(10点中)
総合評価:★★★★☆
ストーリー:★★★★★
エンタメ性:★★★☆☆
感動:★★☆☆☆

めちゃくちゃおもしろくてイッキ見してしまいました!あおり運転から始まる復讐劇で、ダ二ーとエイミーの抱える問題が、あおり運転をきっかけに爆発していく展開が凄まじい。

ダニーとエイミーの怒りは自分の家族を巻き込んでいき、付線と小ネタの効いた緻密なストーリーがとにかく見事でした。

心にグサッと刺さるような、人間の持つドス黒さを炙り出すストーリーは一見の価値ありです。

ラストへ近づくほど奇想天外度が増していくのもおもしろかったし、エンディングもいい終わり方でかなり高得点のドラマです。

出演俳優がほぼアジア系で占められているのも見どころで、10年前ならこういうドラマは考えられなかったと思います。

キャストの演技も素晴らしく、主演のスティーヴン・ユァンはアジア系俳優のなかで頭一つ抜きん出た存在ですが、今回の演技でその地位をさらに不動のものにしたと言えるのではないでしょうか。

ギターの弾き語りも披露していて、歌も上手い!個人的にインキュバス、シュガーレイ、モーフィン、BUSHなどの90年代〜2000年代のバンドの曲がたくさんフューチャーされていたのもよかったです。

脚本や演技で来年の賞レースに絡んでくる可能性もあるのでは?と思えるほど、クオリティの高い仕上がりでおすすめです!


『BEEF/ビーフ ~逆上~』キャスト

ダニー・チョウ(スティーヴン・ユァン)

金銭問題に直面している工事業者。弟のポールと二人暮らしで、韓国に帰った両親をロサンゼルスに呼び寄せようとお金の工面に奔走する。

エイミー・ラウ(アリ・ウォン)

KOYO HOUSEの経営者。夢だった新居を建てるが、忙しくてゆっくり家で過ごす時間がない。事業を売却して、家族と過ごしたいと願っている。

ポール・チョウ (ヤング・マジノ)

ダニーの弟。無職のプータローで兄のすねをかじって生活している。ダニーとは喧嘩が多く、いい関係とは言えない。

ジョージ・ナカイ (ジョセフ・リー)

エイミーの夫。偉大だった芸術家の父親を持ち、主夫をしながらアーティストとして製作活動を続けている。

アイザック・チョウ (デヴィッド・チョー)

ダニーとポールの従兄。仮出所の身で、違法なビジネスに手を染めている。

エドウィン(ジャスティン・H・ミン)

ダニーの元恋人の夫。オレンジ郡の教会のリーダーで、教会のバンドを仕切っている。

ジョルダン・フォスター(マリア・ベロ)

エイミーと事業買収の話を進めている実業家。

ナオミ(アシュリー・パーク)

ジョルダンの義妹で、エイミーと仲良くなる。近所で起きた暴走車のことを独自で調べる。

 

『BEEF/ビーフ ~逆上~』見どころ・解説・考察

タイトルの意味は?

タイトルの『BEEF/ビーフ』は何とも不思議なタイトルで、劇中でダニーがアパートで焼肉をしているシーンが登場し、会話で牛に関して登場したり、牛肉のスープを注文したりとところどころで牛肉が登場します。

やっぱり肉関係のタイトル?と思いきや、BEEFには不満や文句という意味があり、ヒップポップのディスり合いもBEEFと言うのだとか。

確かにあおり運転の根底にはダニーとエイミーの抱える不満や文句があり、お互いにディスり合うという点でもタイトルとマッチしています。

心に刺さるダークコメディ

 

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本作はテーマ的にはダークでシリアスながら、笑えるシーンやセリフも多くサクッと観られるダークコメディに仕上がっています。重いテーマを笑いを持って描き、1話30分全10話という構成も観やすい。

誰もが抱える日常の不満や悩みを、普段の日常らしからぬ展開に当てはめて人間のダークサイドを炙り出すストーリーに引き付けられます。

笑えるけれどグサッと心に刺さる作品に仕上がっていて、観終わった後はさまざまな感情が沸き上がるはず。A24製作の作品はエッジの効いたユニークなものが多く、本作もまさにA24らしい仕上がりになっています。


あおり運転から始まる復讐劇

物語の発端は駐車場での出来事がカーチェイスに発展した事件で、ダニーとエイミーのなかでくすぶる怒りの炎が執拗な復讐へ展開していきます。

ただの嫌がらせが復讐となり、今度は妙な執着心へと変わっていくところに人間の恐ろしさが見て取れます。

ただ仕返しをしたかったという出来心が嫌悪感へと変わり、取り返しのつかない事態へ発展することに…。

あおり運転がついには二人の家族をも巻き込むことになり、予想外の奇想天外な後半へとなだれ込みます。

クラクションひとつでこんなことになるとは、本当にコワイ…。人は運転している時に本性が現れるとよく言いますが、本作を観た後は運転中は冷静に!と肝に銘じたくなります。

似た者同士の二人

あおり運転の当事者の二人は全く異なる立場の人物で、業績不振の工事業者のダニーに対しエイミーは大成功している起業家です。社会的地位は真逆ながら、実は似た者同士。

エイミーが抱える仕事への不満や夫ジョージとの問題、ダニエルの事業不振や弟ポールの関係で描かれているように、二人は性格的にも似ているし、日常生活で直面している不満や悩みも共通しています。

普段は感情を押し殺して生きている二人ですが、あおり運転で怒りに火が付き感情が爆発してしまいます。赤の他人だからこそ、普段の自分ではない一面を見せてしまたっとも言えます。

似た者同士の二人は同じスタンスでお互いをあおり続け、自分の姿を相手に反映して、妙な執着心が湧いてしまったと言えるかもしれません。

カラスの意味と考察

ドラマ内でカラスが重要なモチーフとして登場し、物語のテーマを暗示しているかのようでした。カラスがどのような意味を持つのか、米サイトScreenrantの考察を紹介します。

日本では黒猫が横切ると悪いことが起こるという迷信がありますが、韓国では朝カラスを見つけると不運なことが起こるサインなのだとか。

カラスはフィクションの世界でもある文化圏でも、不運の象徴とされています。カラスは文学やHBOの『ゲーム・オブ・スローンズ』などのシリーズで伏線となる物語の象徴としてよく使われ、差し迫った死の予兆を描くこともある不吉な予兆のシンボルのような鳥です。

ダニーとエイミーの二人に終始接近しているのは、二人のキャラクターがある意味運命的で、周囲の人々の生活に破壊をもたらすというサインと解釈できます。

第1話のタイトル 「鳥は歌わず、痛みにうめく」は鳥の象徴を通して筋書きを予感させるものであり、ダニーとエイミーの人生に対する同じような否定的な見通しを暗示していると取れます。

スティーヴン・ユァンが歌っている曲は?

第3話でスティーヴン・ユァンが弾き語りしている曲は、インキュバスの1999年の大ヒット曲「ドライブ」。スティーヴン・ユァンはギターも歌も上手くて、ビックリしました。

第3話のタイトルが「心に巣食う叫び声」で、「ドライブ」を熱唱する姿は心に残る本作の名シーンです。

「ドライブ」の歌詞がドラマの内容と妙に一致しているように感じたので、歌詞の一部を抜粋して紹介したいと思います。

時々、突然どうしようもない不安が襲いかかって来るんだ
それで自分自身に問わずにいられない
この先どれだけこの恐怖に支配されながら生きて行くのかと
おれはずっと怯えながら生きてきた、それでその漠然とした恐怖は
何度も何度も呼びかけて来るんだ
だけど最近俺は気づき始めたんだ
この手で人生を切り開いていかなくてはいけないって
たとえ明日どんな事が起きようと
オレは逃げないよ、絶対に

この曲は本当に名曲です!筆者も大好きな曲で、Spotifyのお気に入り曲に入っているオールタイム・フェヴァリット・ソング。

ビデオクリップもアニメーションを多用した仕上がりで、当時すごく評価の高かったミュージック・ビデオのひとつです。ヴォーカルのブランドン・ボイドがイケメンだし♡

ドラマ内ではシュガーレイ、モーフィン、BUSH、トリ・エイモスといった1990年代〜2000年代に活躍したバンドの曲が使われてます。

ちなみにエンディングの曲は、スマッシング・パンプキンズの「マヨネーズ」。

主演二人の世代に合わせた選曲とも言え、筆者が夢中になったバンドばかりなのでかかる曲を聴くだけで気分が上がりました。

『BEEF/ビーフ ~逆上~』のネット上での評判は?

『BEEF/ビーフ ~逆上~』まとめ

予告編が超おもしろそうだったので期待していましたが、想像以上の仕上がりで本当におもしろかった!最近観たドラマのトップ5に絶対入れたい、お気に入りドラマです♪

ダークコメディが好きな方におすすめで、Netflixに加入されている方はぜひチェックしてみてください。

 

 

 

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