Netflix『クイーン・シャーロット ~ブリジャートン家外伝~』シャーロット王妃とジョージ国王の結婚を描く、事実から着想を得たドラマ

出典元:https://flixable.com/

シャーロット王妃の若い頃を描く『ブリジャートン家』の前日譚のスピンオフ・ドラマ。『ブリジャートン家』同様激しいラブシーンありの、ドキドキが詰まったドラマに仕上がっています。本作のキャスト、あらすじ、感想、評価、見どころ、解説を、ネタバレあり&なしでレビュー♪



『クイーン・シャーロット ~ブリジャートン家外伝~』概要

製作・配給:Netflix
配信日:2023年5月4日
ジャンル:時代劇、ラブロマンス、ヒューマン・ドラマ
製作国:アメリカ
話数:全6話、1話約60分
日本語吹き替え:あり

『クイーン・シャーロット』あらすじ(ネタバレなし)

ドイツの貴族シャーロットは17歳という若さで、イギリスのジョージ国王に嫁ぐことになる。まだ会ったこともない国王との結婚に不安を抱くシャーロットは、脱走を試みようとするが失敗。

ジョージはシャーロットの予想と違いハンサムでいい人で安心するが、結婚式後は冷たい態度を取られシャーロットは困惑する。

オーガスタ王女は早く世継ぎを作るようにとせかし、シャーロットの侍女のダンベリー夫人に二人の様子を逐一報告させる。

シャーロットはジョージの掴みどころのない行動の理由を知り激怒するが、その後ジョージの様子を心配し手紙を書いて従者のブレムズリーに手紙を託す。

ジョージと音信不通のまま時が過ぎ、シャーロットはジョージに会いに行く…。

『クイーン・シャーロット』感想&評価(ネタバレなし)

ROTTEN TOMATOES:批評家スコア91% 視聴者スコア80%
IMDb:6.8(10点中)
おすすめ度:★★★★☆
ストーリー:★★★★☆
エンタメ性:★★★★☆
感動:★★★★☆

『ブリジャートン家』もおもしろかったですが、『クイーン・シャーロット』もすごくおもしろくて見応えがありました。

『ブリジャートン家』は貴族のロマンス、ゴシップ、結婚相手探しが中心ですが、本作はシャーロット王妃とジョージ国王の本気のラブ・ストーリーでグッと胸にくるものがあります。

ジョージの秘密が分かるにつれシリアスモードへと転じていきますが、変わらぬ二人の愛と絆が感動的。思わず心にとめておきたくなるような名セリフもたくさん登場して、トータルでクオリティの高い仕上がりです。

シャーロット王妃とジョージ国王は実在の人物で、ドラマで描かれるジョージの秘密も事実に基づいています。

『ブリジャートン家』同様、激しいラブシーン満載でドキドキ感もたっぷり♡『ブリジャートン家』は軽目の仕上がりのラブ・ロマンスですが、本作はかなりガチなラブ・ストーリーとして楽しめます。

『ブリジャートン家』を観ていなくても問題ありませんが、観ている方がより楽しめるので順番は逆になっても両方視聴することをおすすめします。

どちらも女子が好きなロマンス満載で、舞踏会のシーンやシャーロットが着こなすドレスはもうシンデレラの世界♪ロマンス・ドラマを観て、どっぷりと気分に浸りたいときにピッタリの作品です。


『クイーン・シャーロット』キャスト

シャーロット王妃(若い頃:インディア・アマルティフィオ  現在:ゴルダ・ロシュベール)

17歳でドイツから、イギリスのジョージ国王に嫁ぐことになる。ジョージの掴みどころのない態度に振り回されてしまう。

ジョージ国王(コーリー・ミルクリースト)

農業と科学が好きなイギリス国王。父親が亡くなり、若くして王になる重圧を感じている。

アガサ・ダンベリー(若い頃:アーセマ・トーマス  現在:アジョア・アンド―)

シャーロットに仕える侍女。年老いた夫を嫌悪しており、貴族社会における人種階級を変えようとしている。

オーガスタ王女(ミシェル・フェアリー)

ジョージ国王の母親。シャーロットの肌の色を最初は気にするが、早く世継ぎが生まれることを望んでいる。

ブリムズリー(サム・クレメット)

シャーロットの召使。いつも5歩後ろを歩き、王妃の世話を焼いている。

レイノルズ(フレディー・デニス)

ジョージ国王の召使。国王のことをいつも気にかけ、精神的に支えている。

ヴァイオレット・ブリジャートン(ルース・ジュメル)

ブリジャートン子爵夫人。夫を亡くし幸せな結婚生活を思い返すことが多い。

ジョン・モンロー医師(ガイ・ヘンリー)

ジョージを診察する医師。サディスティックな一面があり、国王を従わせ操ろうとする。

アドルファス(タンジ・カシム)

シャーロットの兄。異国に嫁ぐ妹を気にかけているが、国の繁栄のためと割り切っている。

主演俳優二人に注目!

インディア・アマルティフィオ

17歳で英国王に嫁ぐシャーロット王妃を演じたインディアは、子役の頃から培った素晴らしい演技を披露しています。

2001年9月17日生まれのイギリス人で、父親はガーナ出身、母親はドイツ出身。

ウェストエンドで子役としてキャリアをスタートさせ、『ライオンキング』の若き日のナラ役でウエストエンドでデビューを果たします。

2013年にBBC Oneのテレビ映画『Gangsta Granny』でテレビ・デビューを果たし、2015年にドクター・フー』シーズン9、2019年の『セックス・エデュケーション』に1話出演。『ライン・オブ・デューティ 汚職特捜班』シーズン4で、タンディウェ・ニュートンの娘ソフィー役で計3話出演しています。

2019年のコメディドラマ『Military Wives』で長編映画デビューを飾り、『クイーン・シャーロット』で主役の座を獲得しました。

コーリー・ミルクリースト

秘密を抱えた英国王を繊細な演技で演じ切ったコーリーは、今回が初の大役出演。25歳のロンドンで生まれのイギリス人で、2020年にアンソニー・ホプキンスも学んだ有名な王立演劇学校で学士号を取得。

学生時代にはシェイクスピアの『マクベス』『ジュリアス・シーザー』『ハムレット』の舞台で主演しています。

Netflix製作の『サンドマン』の第1話でアドニスを演じ、2本の短編映画に出演しています。『クイーン・シャーロット』でジョージ国王役を獲得し、彼にとって初のシリーズ・レギュラー出演となりました。

コーリーは『ブリジャートン家』のサイモン役のレゲ=ジャン・ペイジと、アンソニー役のジョナサン・ベイリーから役作りのアドバイスを受けたそうです。

 

『クイーン・シャーロット』全あらすじ・ラスト結末(ネタバレあり)

ドイツの貴族シャーロットはイギリスのジョージ国王に嫁ぐことになり、国王について尋ねても誰も答えてくれず不安になってしまう。逃げようと壁をよじ登ろうとしているところへジョージが現れ、ハンサムでやさしいジョージと話をしてシャーロットは結婚を決める。

結婚式後ジョージはシャーロットと別の場所で暮らすと言い、シャーロットは困惑してしまう。初夜も一緒に過ごさすショックを受けるが、事情を確かめるためいきなりジョージを尋ねて驚かす。ダンベリー夫人はシャーロットの侍女となり、オーガスタ王女はダンベリー夫人にシャーロットとジョージの様子を逐一報告させた。

ジョージが一緒に食事をしようと訪れ、二人はその夜初めて夫婦として結ばれる。気持ちが高ぶるシャーロットだが、ジョージが母親に義務を果たしただけと冷たく言い放つのを聞いてショックを受ける。ジョージの戴冠式では円満夫婦を演じ、プライベートでは話もしない割には、セックスだけは偶数日で続けていた。

シャーロットはジョージが地下室で医師に診てもらっていると知り、ブリムズリーに詰め寄るが誰も本当のことを教えてくれない。ダンベリー夫人は舞踏会を開き、欠席すると言っていた白人貴族達はジョージが出席すると聞いてみんな舞踏会に出席する。舞踏会は大成功するが、その夜ダンベリー夫人の夫が急死してしまう。

シャーロットは夜ジョージがつぶやきながら壁に殴り書きをしているのを見てしまい、外で飛び出し意味の分からないことを叫ぶ夫をなだめて城の中へ連れ戻す。ジョージ国王の今までの冷たい態度は病気のせいで、シャーロットを遠ざけたのも欠陥品の自分と、美しく聡明なシャーロットとでは釣り合わないと思っていたからだった。

ジョージの医師のモンローはジョージに拷問のような過激な治療を施すが、ジョージはシャーロットのために病を治そうと絶える。シャーロットが妊娠し、ジョージはシャーロットのため病を治そうとモンロー医師のつらい治療を続け、シャーロットと音信不通になる。シャーロットがジョージを探しに行くと、モンロー医師から拷問のような治療を受けており、ジョージを城へ連れ戻す。

ダンベリー夫人は夫の死後、妻子あるレッジャー卿と親しくなり一線を越えてしまう。二人は逢瀬を重ねるがある日レッジャー卿は娘のヴァイオレットを連れて現れ、もう会えないと遠回しに説明する。シャーロットの兄のアドルファスがドイツから訪れ、ダンベリー夫人を気に入りプロポーズするが夫人は迷ってしまう。

ャーロットは息子を出産し二人は幸せいっぱいだが、ジョージは議会の演説の日病のため馬車から降りられなかった。ダンベリー夫人はオーガスタ王女にダンベリー卿を息子が相続することを交渉し、アドルファスのプロポーズを断る。

国王の息子のお披露目舞踏会が開かれ、ジョージは無事にスピーチをしてシャーロットとダンスを披露する。シャーロットは二人目を授かり、オーガスタ王女はジョージが回復したのはシャーロットのおかげだと感謝する。

『クイーン・シャーロット』見どころ・解説・考察(ネタバレあり)

※重大なネタバレを含むため要注意

二つの時間軸


本作は『ブリジャートン家』の前日譚のスピンオフで、シャーロット王妃の若き日々に焦点を当てています。ナレーションは『ブリジャートン家』と同じく、レディ・ホイッスルダウンが担当。

シャーロット王妃の若い頃と現在を描く二つの時間軸で構成されていますが、メインはシャーロットの若い頃の物語で、ジョージ国王との出会いと結婚生活を描いています。

現在の時間軸ではシャーロット王妃の世継ぎがいないことの焦り、ダンベリー夫人とブリジャートン子爵夫人のヴァイオレットの友情を中心に描いています。

若い頃のダンベリー夫人が、ヴァイオレットの父親と不倫していたという事実が分かり驚きました。

シャーロット&ジョージの関係、ジョージの秘密

17歳で異国の地に嫁いだシャーロットは、ジョージ国王がどんな人なのか全く知らされず不安でいっぱい。結婚式直前に会ったジョージはハンサムでやさしそうな人で、お互い一目ぼれ⁉というくらい視線が絡み合っていました。

無事結婚式が終わってこれから結婚生活と思いきや、ジョージはシャーロットと別の城で暮らすと言い、初夜も一緒に過ごさない奇怪な行動でシャーロットを困惑させます。

一瞬同性愛者?と思いましたが、初夜を無事迎えた後はシャーロットと偶数日にセックスして、ベットでは盛り上がる二人。

掴みどころのない人物像に謎が深まりますが、ジョージは精神的な病を抱え自分が妻と釣り合わない欠陥品だと思い遠ざけていたことが判明。

ジョージはシャーロットのために病を治そうと、拷問のような治療に耐える姿が涙を誘います。ジョージがシャーロットを愛すのは、国王ではなく自分を単なるジョージとして見てくれるただ一人の理解者だから。

ジョージを必死で支えてサポートするシャーロットの愛とやさしさに胸が熱くなってしまい、二人のガチなラブ・ストーリーはグッと胸にきてしまうはず。

ジョージとシャーロットが揉めるたびに、二人の従者のブリムズリーとレイノルズの距離が縮まっていくのがおもしろく、二人の物語もサブストーリーとして花を添えています。

貴族社会の人種差別

『ブリジャートン家』のシーズン1は1813年が舞台。史実によるとシャーロット王妃がジョージ国王と結婚したのが1761年となっているため、『クイーン・シャーロット』は52年前の設定になります。

『ブリジャートン家』では白人と有色人種が平等に暮らす貴族社会が描かれ、人種差別は登場しません。本作ではオーガスタ王女がシャーロットの肌の色を気にするなど、人種差別が色濃く残っています。

シャーロットの侍女のダンベリー夫人が、人種差別が残る貴族社会を変えていこうと尽力する姿が描かれているのもおもしろい。

ダンベリー夫人は年老いた夫を嫌悪しながらも、夫が白人貴族と肩を並べられるようにとオーガスタ王女に働きかける強い女性。

シャーロットにも自分たちの中から初めて王妃になった意味を考え、国のことを考えるようにと諭します。

舞踏会を開き白人と有色人種が対等の立場になるよう計らうなど、ダンベリー夫人の物語がしっかり描かれているのもポイントです。52年後には人種差別がなくなっているというのは夢物語ですが…。

事実から着想を得た物語、ジョージの謎の真相は?

冒頭で「事実に構想を得た物語であり、筆者は意図的に事実に手を加えている。」とテロップが流れる通り、シャーロット王妃とジョージは実在の人物です。

ドラマは波乱万丈な二人の恋物語が描かれますが、ジョージは他の王族や貴族と違い愛人を抱えず、2人は精神疾患に悩まされるまで幸福な結婚生活を送りました。

ジョージは在位中、何度も深刻な精神疾患に見舞われ、1778年には攻撃的になって拘束具で拘束されたこともあったそうです。

口から泡を吹いて支離滅裂な言葉を何時間も話し続けることもあり、木をプロイセン国王と間違えて握手しようとしたという噂が流れ「狂王」と呼ばれるように。

晩年はリウマチを患い、視力と聴力を失いウィンザー城で隠遁生活を送り、1820年に肺炎のため81歳で亡くなりました。

ジョージの病の原因についてはいまだに議論が続いていますが、双極性障害だったという説もあれば、ポルフィリン症として知られる遺伝的代謝障害だったという説もあります。

2005年の毛髪分析では高濃度のヒ素中毒が検出され、薬物療法が悪化につながった可能性も示唆されているそうです。

シーズン2の製作は?

『クイーン・シャーロット』はリミテッド・シリーズとなっており、基本的に今回限りのシリーズとして製作されました。クリエイターのションダ・ライムズは、シーズン2の可能性について次のように言及しています。

「シーズン2について質問されるけれど、まだそれについては何も話し合っていません。シャーロットとジョージの複雑で不完全な愛の物語を非常に具体的に描いたと思う。それでも可能性は除外しないし、どうなるかは分かりません。」

お茶を濁した言い方でごまかしていますが、シャーロットとジョージの物語は描き切ったと言っているため『ブリジャートン家』の他のキャラクターを主人公に、新たなスピンオフが製作される可能性もあるかもしれません。

Netflixは配信から28日間の視聴率を見て次シーズンの製作を決定するため、視聴者数が適切に評価されれば、Netflixの決断はより明確になるはず。

まだ様子見といったところですが、最近は一つの作品から枝分かれして発生していくスピンオフで「○○バース」を形成するのが主流です。

数々のヒット作を生み出しスピンオフ作品も多く成功させてきたションダ・ライムズが、「ブリジャートン・バース」をこれからも作り続けていく可能性は高そうです。

参照記事:
What was King George’s illness, as seen in Netflix’s Queen Charlotte?

『クイーン・シャーロット』のネット上での評判は?

『クイーン・シャーロット』まとめ

『ブリジャートン家』のような軽めのラブロマンスかと思ったら、かなりシリアスなラブ・ストーリーで見応えがありました。

どちらもすごくおもしろいので、両方合わせて視聴してほしいおすすめドラマです。Netflixに加入されている方は、ぜひチェックしてみてください♪

 

 

 

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