実在したフランスの実業家ベルナール・タピの人生から、着想を得たヒューマンドラマ。労働者階級から実業家として成功した、奇想天外なタピの物語は見応えたっぷり。本作のあらすじ・キャスト・感想などを、ネタバレあり&なしで早速チェック!
『タピ〜千の人生を送った男〜』概要
配信日:2023年9月13日
原題:TAPIE(仏題)、Class Act(英題)
ジャンル:ヒューマンドラマ、実話
製作国:フランス
原作・制作:トリスタン・セゲラ、オリヴィエ・ドゥマンジェル
話数:全7話 1話約50分
日本語吹き替え:なし
『タピ〜千の人生を送った男〜』あらすじ(ネタバレなし)
ベルナール・タピは貧困層出身で、有名になり成功することを夢見ている。最初は歌手志望だったがうまくいかず、持ち前のバイタリティと口の上手さで家電店をオープンさせる。
妻のミシェルは幼い娘を育てるのに、不安定な生活に不安を隠せない。タピの好き勝手な生き方が夫婦仲に影響していくなか、出資者のロアゾーの娘ドミニクと親しくなる。
タピは次々と事業を乗り換えながら、富と名声を手に入れていく。
『タピ〜千の人生を送った男〜』感想&海外評価(ネタバレなし)
IMDb:7.1(10点中)
おすすめ度:★★★★☆
ストーリー:★★★★☆
エンタメ性:★★★☆☆
感動:★★★☆☆
普段英語圏以外のドラマはあまり視聴しないのですが、本作はタイトルに引かれて視聴しました。実話を基にしたドラマが好きなのですごく楽しめましたが、ただ主人公のタピは筆者の一番嫌いなタイプの人間で、見ていてイラっとすることが多かったです。
それでも貧困層出身のタピがあの手この手でのし上がり、成功を手に入れていく物語がおもしろくないはずがありません。
タピはとにかく口八丁手八丁で、次から次に事業を乗り換えていき、富と成功を手に入れていきます。強引で時には反感を買うこともありますが、自分の望みを叶えるためなら猪突猛進していく行動力がとにかくスゴイ!
ここまでできる人はなかなかいないと思うし、奇想天外なタピの人生にいい意味でも悪い意味でも魅せられてしまうはず。実話を基にしたドラマや、見応えのあるヒューマン・ドラマが好きな方におすすめです。
『タピ〜千の人生を送った男〜』キャスト
ベルナール・タピ(ロラン・ラフィット)
貧困層出身で成功することを夢見ている。お金がなくても口八丁手八丁でビジネスを始め、軌道に乗せていく。
ドミニク・タピ(ジョセフィーヌ・ジャピ)>
タピが始めた家電店の出資者ロワゾーの娘。タピに魅せられ、親密になっていく。
ジャン(パトリック・ダスンサオ)
タピの父親で配管工。破天荒なタピの生き方をいつも心配し、タピの行動を戒めることが多い。
ニコル(カミーユ・シャムー)
タピが始めた製本会社で働いている社員。仕事熱心で機転が効き、タピの右腕として働く。
ミシェル・タピ(オフェリア・コルブ)
タピの最初の妻。タピの無鉄砲な計画と生き方になじめず、ついていけなくなってしまう。
『タピ〜千の人生を送った男〜』全あらすじ・ラスト結末(ネタバレあり)
タピは貧困層出身で学歴もお金もないが、成功して有名になることを夢見ている。妻のミシェルと娘と暮らしているが、不安定な生活で家はいつもお金がない。最初は歌手志望だったがエンタメ界では成功できず、定額制の家電店のアイディアを思いつく。投資家のロアゾーに出資してもらい、ロアゾーの娘のドミニクと親しくなる。家電店は順調だったがロアゾーはタピとドミニクが親しくしているのが気に入らず、タピをビジネスから外してしまう。
タピの父親が心臓発作で倒れるが救急車の到着が遅く、タピは会員制の救急サービス「心臓救済会」を設立する。医師のセルジュと組むが、成功するために口から出まかせばかり言うタピにセルジュがついていけなくなり、結局救急サービス自体も上手くいかなかった。タピはロアゾーの弁護士のところへ行きビジネスのアイディアを説明し、弁護士はそのアイディアを気に入りタピと組んでビジネスを展開していく。ディケ・ドゥ二という製本会社を買収し、経営を立て直し軌道に乗せて手腕を発揮する。ミシェルと別れてドミニクと一緒になり、息子が誕生する。
タピは友人のアレクシスが電池会社のウォルダー社を買収することを知り、自分が先に買収しようとアレクシスに罠を仕掛け、見事ウォルダー社を手に入れる。買収後に実はウォルダー社は負債だらけだと分かり、数年後社員の不満が爆発してしまう。タピがテレビ番組に出演する日、ウォルダーの社員がテレビ局の前に押し寄せ暴徒と化す。タピの父親が人質となり、タピは社員と話をして合意に達する。タピのビジネスの手腕に注目した大統領が助言を求め、タピは政界入りを目指す。タピの会社はアディダスを買収するが、タピは大臣となり貧困層が暮らす団地を改善しようと奔走していた。
アディダスの買収により負債が増え、会社の経営が傾きかけるがタピは政治に熱中してドミニクに会社を任せきりだった。タピは大統領との会話をスピーカーフォンにしていたため、会話の内容が新聞に載ってしまい大統領から大臣を辞任するように言われる。タピはサッカーチーム「OMG」を持つ実業家になっていたが、政治の世界を諦めきれない。
タピのサッカーチームは試合を勝ち抜き、タピは国内リーグ優勝のため対戦チームに八百長を仕掛けチームは優勝する。八百長を頼まれた選手の一人ジャック・グラスマンは、八百長の件をレフリーに話して捜査が始まる。タピは担当検事と話し、最初は八百長を否定したが検事の徹底的な追及から逃れることができなかった。有罪となり8ヶ月の有罪判決を受け、マスコミから逃れるため、父親が運転する車のトランクに隠れて家を出て刑務所へ向かった。
『タピ〜千の人生を送った男〜』見どころ・解説・考察(ネタバレあり)
タピの奇想天外な人生
Laurent Lafitte dans le rôle de Tapie sur Netflix c’est vraiment le meilleur choix.
Quel acteur incroyable. pic.twitter.com/QLjNNxGPcg
— Niels Kopa 🗿 (@NielsKopa) September 13, 2023
真実は小説より奇なりという言葉がありますが、タピの人生はまさにその言葉そのもの。貧困層出身で学歴もキャリアもない代わりに、野心家で成功したいという気持ちが人一倍強い人物です。
お金がなくてもアイディアひとつでビジネスを始め、次から次へと事業を乗り換えながら成功を手にしていきます。もちろんとんとん拍子に行くわけではなく、失敗を繰り返しながら這い上がっていく過程がものすごくおもしろい!
タピのビジネスの発想と手腕も実に独創的で、他の人が思いつかないようなやり方で展開していきます。
ビジネスだけでなく政界にも進出し、労働階級という出身のため貧困層の生活環境をよくしようと取り組みます。
いい行いもするのですが、成功に目がくらんで最後には八百長に手を出し身を滅ぼすことに…。アップダウンの繰り返しのジェットコースターのような人生が最高におもしろく、タピの奇想天外な物語は一見の価値ありです。
最終話でタピ本人の映像が流れますが、タピ役のロラン・ラフィットとすごくよく似ています。
タピという人間
Laurent Lafitte incarne Bernard Tapie dans une série Netflix : “Je pense qu’il voulait être artiste, mais a trouvé le vedettariat dans les affaires”https://t.co/2vhNFfTTF5
— franceinfo (@franceinfo) September 13, 2023
タピを見て一番に思ったのが、「この人は自分の一番嫌いなタイプ」ということ(笑)。とにかく口が上手くて、成功するためなら嘘も平気でつく信用のならない人物です。
口八丁手八丁で猪突猛進していくため、彼のペースに巻き込まれる人と離れていく人の差が大きいのが特徴です。
タピという人柄に魅せられる人もいれば、こいつにはついていけないと離れていく人が多いのも事実。野心家でお金がなくてもいつか成功すると信じている自信家で、自分の能力を信じてやまない自惚れ屋です。
どんなにまずい状況でもポジティブに捉えて落ち込むことがなく、こんなに前だけ見て進んでいける人物はめずらしい。
実に頭がよく人が思いつかない発想力に長け、人を巻き込んでいく強いエネルギーを持っている人物です。
ビジネスを成功させるためなら悪事には目をつぶるも、政治家としては貧困層を助けようと尽力するなど、善と悪の二つの局面を持つところも興味深い。
特に友人を罠にかけヴォルター社を手にいれる下りは、普通ここまでやる⁉というくらいの破天荒ぶり。人々を魅了するチャーミングな人物ながら、人によっては好き嫌いの印象が分かれるタイプでもあります。
過ぎた野心が身を滅ぼすという典型のような結末ですが、それすらも楽しんでしまうような大胆不敵な人物がタピの本性なのかもしれません。
父と子の物語
本作はタピの破天荒な人生を描いた物語と同時に、父と子の物語でもあります。タピの父親は配管工で貧しい家庭で育ちますが、その生い立ちが成功を手に入れたいという野心を駆り立てます。
タピのもうひとつの原動力は父親を見返したい、という気持ちの表れでもあるように感じました。父子関係は悪くないものの、父親はタピの突拍子もない行動や考えを戒めて軌道修正させようとして、いつもタピを怒らせることに…。
成功を手にしてもタピがまた何かやらかすのではとひやひやと見守っているのは、息子の破天荒な性格をよく知っているからこそ。
タピは自分の成功を手放しで喜んでくれない父親に不満を抱きますが、父親としては自分がブレーキ役にならないといけないという気持ちがあるのかもしれません。
最後にタピを刑務所へ車で送った父親が、「こうなったのは自分のせいだ」と呟きます。
もっとタピを褒めてその成功を心から喜んでやれば、こんなことにならなかったのかもという後悔が表れているように感じました。父親がタピを認めていれば、成功することにここまで執着しなかったかもしれません。
『タピ〜千の人生を送った男〜』まとめ
タピという人間自体は好きになれませんでしたが、物語としてはすごくおもしろかったです。真実は小説より奇なりを地で行くような人生で、実話を基にしたドラマが好きな方も気に入るのではないでしょうか。
普段英語圏以外のドラマはあまり見ないという海外ドラマウォッチャーの方にもおすすめで、Netflixに加入されている方は、ぜひチェックしてみてください♪
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