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監禁された親子が脱走したことから13年前の失踪事件と繋がっていく、最後まで真相が見えない謎が謎を呼ぶ震撼のミステリーに仕上がっています。本作のあらすじ・キャスト・感想などを、ネタバレあり&なしで紹介します!
『汚れなき子』概要
配信日:2023年9月7日
原題:Liebes Kind(ドイツ語)Dear Chiled(英題)
ジャンル:サスペンス、ミステリー、スリラー、ヒューマンドラマ
製作国:ドイツ
原作:ロミー・ハウスマン『汚れなき子』
監督:イザベル・クレーフェルド
話数:全6話 1話約45分
日本語吹き替え:あり
『汚れなき子』あらすじ(ネタバレなし)
レナは厳重に施錠された家で子供たち二人と一緒に監禁されていたが、ある日脱走に成功する。娘のハンナが後を追うが、レナは逃げる途中で事故にあってしまう。
レナは病院に搬送されレナを探し続けている両親が連絡を受けてやってくるが、レナを見て娘ではないと言う。レナは生死をさまようなか、子供たちの父親の言いなりになるしかなかった監禁生活にうなされる。
事故を捜査するアイダ・クルト刑事と、13年前の失踪事件を調査していたゲルト刑事は二つの事件を追ううちにある真相へとたどり着く…。
『汚れなき子』感想&海外評価(ネタバレなし)
IMDb:7.4(10点中)
おすすめ度:★★★★☆
ストーリー:★★★★★
エンタメ性:★★★☆☆
感動:★★★☆☆
すごく評判がいいドラマだったので視聴してみましたが、謎が謎を呼ぶ展開がおもしろく見応えのあるミステリーでした。
全6話と短いリミテッドシリーズながら、冒頭から立て続けに謎の付線が描かれ、一体何が起きているの?と思わずにいられない展開から目が離せません。
テーマが重くつらい気分にさせられますが、本格的なサスペンス・ミステリーとしては上出来の仕上がりです。
最後まで犯人が分からないし、細かい付線が次第につながっていくパズルのピースを当てはめていくような感覚を楽しめるドラマに仕上がっています。
短い尺でよくここまですっきりと難解なミステリーをまとめたな、とその手腕に拍手を送りたくなります。海外サスペンスドラマや、スリリングなミステリーやスリラーが好きな方は絶対ハマるはず。
ドイツ制作のドラマですが、普段英語圏以外の海外ドラマはあまり観ないという海外ドラマウォッチャーの方にもぜひ観てほしいミステリーの秀作です。
『汚れなき子』キャスト
レナ・ベック(キム・リードル)
子供たちと一緒に厳重に施錠された家で監禁されていたが、脱走する途中で交通事故にあってしまう。
ハンナ (ナイラ・シューバース)
レナの娘。厳しい規則を課する父親の監視の元で、隔離されて育った。頭がよく知識が豊富だが、本当の幸せを経験したことがない。
ヨナタン(サミー・シュレイン)
ハンナの弟で、ハンナと仲がいい。レナとハンナが脱走したとき、一人で家に残ることになってしまう。
ゲルト・ビューリング(ハンス・レーヴ)
13年前に起きたレナの失踪事件を調べている刑事で、レナの両親と親しい。
アイダ・クルト(ヘイリー・ルイーズ・ジョーンズ)
レナの交通事故を調査する刑事。
マティアス・ベック(ユストゥス・フォン・ドナーニー)
レナの父親。自分に孫がいたことを知り、引き取って面倒をみようとする。
カリン・ベック(ジュリカ・ジェンキンス)
レナの母親。夫と違い、レナの子供たちを引き取ることに躊躇する。
『汚れなき子』全あらすじ・ラスト結末(ネタバレあり)

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レナは厳重に施錠された家で子供たち二人と一緒に監禁されていたが、ある日脱走に成功する。娘のハンナが後を追うが、レナは逃げる途中で事故に遭ってしまう。レナは病院に搬送されるが、ハンナと話した看護師は普通の子供と違うハンナに異様なものを感じる。レナを探し続けている両親が連絡を受けやってくるが、レナを見て娘ではないと言う。事故を捜査するアイダ・クルト刑事はハンナに弟ヨナハンがいることを知り、家族が暮らしていた家を懸命に探す。レナは13年前にパーティーへ行った後行方不明になり、レナの両親の友人のゲルト刑事が失踪事件を調査していた。
レナの家が特定され現在は使われてない軍事施設だと分かり、ヨナハンを無事確保した。レナが目を覚まし、ゲルトに本当の名前はヤスミンだと言い、夫のこめかみをスノードームで殴ったと言う。アイダ刑事はレナの家で顔を切り裂かれた男が倒れているのを見つけるが、ヤスミンは夫の顔を切り裂いていないと言う。顔を切り裂かれていた男性の検視が行われ、死因は首の骨折で顔は死後に切り裂かれたことが分かる。その男のDNAからハンナとヨナハンの父親ではないことが分かり、姉弟の父親が異なることが分かる。
ヤスミンは拉致された後、髪を金髪に染められ手のひらにレナと同じ火傷跡を付けられ、死んだレナの代わりとして子供たちの母親役をさせられていたのだった。森の中で遺体が見つかるがレナのものではなく、警察はレナの死後に母親役をさせられた女性が多数いて、殺されて遺棄されたと推測する。顔を切り刻まれた男性のモンタージュが完成するが、その男性はレナを車で跳ねた人だった。ヤスミンは自分のアパートへ戻るが、そこでもハンナの父親がセキュリティカメラで見張り、ヤスミンを支配しようとしていた。ゲルトはレナが拉致されたとき、既に妊娠していたのではと推測する。レナの父親を特定するためレナの元恋人たちのDNAテストをして、ハンナの父親は元恋人のフロリアンだと分かる。
レナはハンナとヨナハンを出産した後、サラという女児を出産するが出産後の産褥熱で敗血症となり赤ちゃんと共に亡くなってしまう。その後父親はレナに似ている女性を拉致して、母親代わりにさせていた。ハンナは祖父母の家に移るが、その翌日姿を消し父親と一緒にキャンピングカーに設置された画面でヤスミンの様子を見ていた。ゲルトはヤスミンの後をつけているとき、セキュリティ会社の社長ラルス・ログナーを見かける。アイダ刑事にラルスについて調べるよう頼み、アイダは会社でラルスの家族の写真を見て、ラルスの母親がレナによく似ていることに気付く。
会社の女性はラルスの母親は若くしてラルスを生み、ラルスを捨てて家出したと話す。セキュリティ会社の資料で2002年にレナの実家がラルスの会社のシステムを設置していて、誤作動した際にラルスが対処しそのときレナに会っていたことが分かる。母親に捨てられたことが理由で母に執着しているラルスは、母によく似ているレナを拉致したのだった。ヤスミンが脱走した日、ヤスミンはスノードームでラルスの頭を殴って逃げたが、車に跳ねられ助けを呼ぼうとした運転手の頭をハンナが殴って気絶させた。後から追ってきたラルスがヤスミンを跳ねた運転手を殴って殺し、身元が割れないように顔を切り裂いて家に置いて自分の身代わりにしたのだった。
ハンナはヤスミンがこれまでの母親の代わりで一番好きだから助けてほしいと頼み、ラルスは救急車を呼び、ヤスミンが治ったら迎えにいくとハンナに言う。ヤスミンはラルスを殺すつもりで、洗脳されている振りをして再びラルスと会って殺すつもりだった。3人は海へ行き、ヤスミンは隠していたスノードームの破片でラルスを刺殺する。後を追って来たゲルトは、ラルスにレナを埋めた場所を聞き出した。警察はラルスの家の庭を掘り起こし、レナの遺体を発見する。
『汚れなき子』見どころ・解説・考察(ネタバレあり)
震撼の監禁ミステリー

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冒頭から子供二人と母親が、窓のない家に監禁されている様子が登場します。父親が入って来ると手を見せて汚れていないことを確認させられ、朝ごはんの内容やトイレの時間まで決められた規則に従った生活をさせられています。
窓がないため空気は循環器を使って制御されており、子供たちは学校に通わず家で勉強しているため友達もいません。
ドアはしっかりと施錠され、窓もないため脱出することは不可能…。こんな場所で生活していたら頭がおかしくなりそうですが、子供達は他の生活を知らないためこれが普通だと思っている様子。
もちろんテレビやネットもないため、外の世界を知りようがありません。母親のレナや母親代わりのヤスミンが話す外の世界について以外の情報は一切なく、ハンナはまだ会ったことのない祖父や行ったことのない海について想像を巡らせます。
普通の生活と幸せの感覚を知らずに育った、ハンナとヨナハンが本当に不憫でならず、こんな目に合わせる父親に対して怒りを感じてしまいます。
謎が謎を呼ぶ展開
『汚れなき子』は全6話、1話約45分と短いシリーズですが、短い尺のなかで実にうまく物語をまとめて観やすい仕上がりになっています。
冒頭から監禁された家族、逃げた母親、レナが偽物だと言う両親、ハンナとヨナハンの父親の謎といった数々の付線が登場し、一体何が起こっているのか全く想像ができません。
どういう展開になるのか気になって仕方なく、ぐいぐいと物語に引き込まれていきます。13年前のレナ・ベックの真相事件が事の発端ですが、見つかったと思ったレナは偽物だったという時点で一体どういうこと?とクエスチョン・マークだらけ…。
謎が謎を呼ぶ展開から目が離せず、レナが偽物だった理由が最後で判明する犯人の過去とうまくリンクしている展開に、そういうことだったのかと納得。
それにしてもこういうドラマは登場する全員が怪しく見えてしまい、最初はおじいちゃんが怪しい?と思ってしまいましたが、全然違いました(笑)。
ハンナの行動と結末

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監禁されていた少女のハンナはとっても可愛らしいのに、目が笑っていないのが何だか怖い。父親がすべてをコントロールして支配する生活しか知らないため、これが幸せな家族像だと思っています。
ハンナと話した看護師やアイダ刑事は、他の子供とは明らかに違うハンナの行動と言動に思わず面喰ってしまうことに…。
厳しい規則に支配される生活のなかで、ハンナは自分の行動が父親の希望に沿っているかという基準が自分のものさしになっています。
それでも割れたスノードームの破片を、ヤスミンに渡したのはハンナでした。ハンナはヤスミンに自分を傷つけるために破片を渡したのか、それとも父親を殺害してほしいと願っていたのでしょうか?
その点ははっきりと描かれていないものの、すべて父親にどう思われるかを基準にしてきたハンナが、外の世界に出てやさしい看護師や祖父と触れ合ったことで何か変化が起きたのかもしれません。
他の人たちと触れ合うことで、これまでの父親に支配されてきた自分は間違っていることに気付いた可能性もありえます。
最後に父親に海へ行きたいと頼んだのも、ヤスミンに父親を殺させる時間とチャンスを与えようとしたとも考えられます。
いろいろな解釈ができますが、ハンナが外の世界に出たことで変化したことは明らかと言えるのではないでしょうか。
犯人の正体とトラウマ

出典元:https://netflixlife.com/
なかなか家族を監禁している父親の正体が見えてきませんでしたが、最後に隠れ家のあった元軍事施設のセキュリティ会社の社長ラルスが犯人だったと判明します。
ラルスがレナを誘拐し、自分の子供たちまで監禁したのはなぜなのか?ラルスの母親は若くしてラルスを生み、その後彼を置いて家を出てしまいます。
祖父母に育てられたラルスは母親の愛情を知らずに育ち、それがトラウマになっているのは明らかです。レナを誘拐したのも母によく似ているためで、自分を捨てた母親への執着心からレナをコントロールして支配下に置きます。
レナと子供たちを監禁して閉じ込めたのも、母親に逃げられたトラウマが大きく、自分の元から絶対逃げないようにしたのではないでしょうか。
ヤスミンに白のブラウス、黒のスカート、青のカーディガンを着せていたのも、写真の母親の服装を真似させるため。
親の愛を知らない子供が、どれほど心に大きな傷を負うかということを改めて考えさせられる物語になっています。
『汚れなき子』のネット上での評判は?
Netflixリミテッドシリーズ『汚れなき子』全6話を明け方まで観ていたよ。ドイツ発のサスペンスドラマ。監禁から逃げ出した女性と一緒にいた娘の証言から13年前の未解決の失踪事件が解決か…から始まる、驚きの真相への過程が実にスリリングでハマる。そしてラストで得るカタルシス…実に心地好い。 pic.twitter.com/vtBnqQ7l40
— 𝓓𝓳𝓪𝓷𝓰𝓸🌙 (@Django_88films) September 24, 2023
Netflixで『汚れなき子』完走。
・先が気になって一気に観た、コントロールされて育った子供の不安定な視点と大きなトラウマが残る被害者の視点、ミステリーとドラマのバランスがよくとても面白かった。
・北欧ミステリーぽい重厚感でかなり好み、原作も気になる。 pic.twitter.com/mpCai2bR76— orzちゃん (@zgm1125) September 21, 2023
『汚れなき子』まとめ
謎が謎を呼ぶ展開で、パズルのピースを当てはめていくような物語にすごく引き込まれました。本格的なサスペンス・ミステリーやスリラーが好きな方におすすめで、Netflixに加入されている方はぜひチェックしてみていください♪
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