Netflix映画『Fair Play/フェアプレー』恋人の出世でミソジニーが露わになる心理サスペンス

出典元:https://www.heavenofhorror.com/

同僚の恋人の出世で関係が崩壊していく様を描いた、フィービー・デネヴァー主演の心理サスペンス。本作のあらすじキャスト感想結末などを、ネタバレあり&なしで早速チェック!



『フェアプレー』概要

製作・配給:Netflix
配信日:2023年10月6日
原題:Fair Play
ジャンル:恋愛、サスペンス、ヒューマンドラマ
製作国:アメリカ
脚本 監督:クロエ ドモント
上映時間:113分
日本語吹き替え:あり

『フェアプレー』あらすじ(ネタバレなし)

エミリーとルークはヘッジファンド会社で働く同僚で恋人同士。エミリーは恵まれない家庭環境のなかハーバード大学を優秀な成績で卒業し、仕事でも優秀な成績を残している。

ポートフォリオマネージャーが解雇され、ルークとエミリーは後任を狙っていた。上司のキャンベルはある人物を後任に指名するが、そのことが二人の関係に影響を及ぼしていく。


『フェアプレー』感想&海外評価(ネタバレなし)

ROTTEN TOMATOES:批評家スコア88% 視聴者スコア73%
IMDb:6.9(10点中)
おすすめ度:★★★☆☆
ストーリー:★★★☆☆
エンタメ性:★★☆☆☆
感動:★☆☆☆☆☆

退屈せずに最後まで観ましたが、すごくおもしろかったかと言うと正直微妙な感想です。ヘッジファンドを舞台に、恋人の出世によってミソジニーが露見していく過程を、じわじわとくる心理描写で描いています。

後半の暴走度が加速していくあたりからおもしろくなっていき、少しホラーぽい展開がかなり怖い。ポスターの印象からエロティックを売りにしている感じだし、年齢指定が18歳以上なのでもっと際どい内容なのかと結構中途半端な印象でした。

衝撃度が一番すごかったのがエミリーがもらう小切手の額!日本だったらおしゃれな新築マンションが2軒買える金額で、こんなにもらえるのかと一番衝撃度が高かったです。そのシーンで一時停止して、2回確認してしまいました(笑)。

女性の出世で男女のパワーバランスが崩れるよくある話で、全体的に物語にぐいっと引き込む吸引力が足りない印象でした。

それでも後半にかけての暴走っぷりがすごいし、どんどんヤバい方向へ行く展開はおもしろかったです。付き合う相手の本性は、なかなかわからないものだなと改めて思わされます。

出世するのが逆の立場だったら、全然違う物語になるんでしょうね(笑)。

いつまでたってもなくならないミソロジーやマチズモの問題は、こういう映画で問題提起していくしかないのでしょうか。いろいろと考えさせられる映画でした。

『フェアプレー』キャスト

エミリー(フィービー・ディネヴァー)

ヘッジファンド会社の社員で、男社会で生き抜くため必死に働いている同僚のルークと恋人同士。

ルーク(オールデン・エアエンラルフ)

エミリーの恋人で同僚。ポートフォリオマネージャーのポジションを狙っている。

キャンベル(エディ・マーサン)

エミリーとルークの上司。エミリーの能力を高く買っている。

ローリー(セバスチャン・デ・ソウサ)

エミリーの上司のポートフォリオマネージャー。

ポール(リッチ・ソマー)

エミリーとルークの同僚。

『フェアプレー』全あらすじ・ラスト結末(ネタバレあり)

出典元:https://apnews.com/

エミリーとルークは同じヘッジファンド会社で働く恋人同士。ルークの弟の結婚式で、ルークはエミリーにプロポーズする。エミリーは婚約をすぐに母親に連絡するが、会社では同僚との交際は禁止でエミリーは仕事場へは婚約指輪を外していく。

ポートフォリオマネージャーが解雇され、後任をルークとエミリーは狙っていたが、夜にエミリーに同僚のローリーから電話がある。呼び出されて行くとローリーはおらず、上司のキャンベルがいてエミリーがマネージャーに決まったと言われる。ルークはエミリーの昇進を喜んでくれたが、会社ではエミリーの出世にやっかむものも多かった。

ルークがエミリーの部下になったことで二人のパワーバランスが崩れていき、ルークは次のチャンスを掴もうと高額なセミナーにお金をつぎ込む。エミリーはルークの意見で株を買い足すが、2000万ドルの大損失を出してしまう。

ルークとエミリーはこのことがきっかけで、関係がこじれていく。エミリーは損失を補うため株の空売りをして損失をカバーし、キャンベルから手数料の57万ドルの小切手を受け取る。エミリーは同僚と一緒にストリップクラブへお祝いに行き帰りが遅くなり、帰宅後酔ったエミリーとルークは激しく口論する。

マネージャーのローリーが解雇され、ルークはエミリーに後任に自分を押してほしいと頼むが、エミリーはキャンベルはルークをリストラ候補に入れていると話す。ルークはキャンベルのオフィスへ行き自分を後任にするべきだと話すが、既に他社から引き抜いた新しいマネージャーが決定しており、ルークはみんなの前で恥をかいてしまう。

ルークは家にも帰らず会社も欠勤して行方が分からなくなり、エミリーの母が婚約パーティーのことでしつこく電話をかけてくる。エミリーのプレゼン中にルークが会社に現れて騒ぎ、エミリーと交際して同棲していることをぶちまける。

ルークは会社を飛び出した後エミリーと自分の婚約パーティーへ行くが、駆けつけたエミリーとトイレで大喧嘩になる。二人は激しく言いあう中キスし始めるが、ルークはエミリーを押さえつけて性的暴行しエミリーの体は痣だらけになってしまう。

社内恋愛がバレてエミリーは窮地に立たされるが、キャンベルにルークはストーカーで付きまとわれていたと嘘をつく。家に帰るとルークが荷物をまとめていて出ていくと言い、エミリーはルークに謝罪を要求し、気持ちが高ぶったエミリーはルークをナイフで傷つける。おびえたルークは泣きながら謝罪し、エミリーはもう用はないから床の血を拭いて出て行けと命令する。


『フェアプレー』見どころ・解説・考察(ネタバレあり)

ミソジニーを軸にした心理サスペンス

本作はエミリーが熾烈な男社会のヘッジファンドで出世し、同僚で恋人のルークとの関係が崩壊していく様を描いています。エミリーが昇進しルークが部下になったことで、これまで保たれてたパワーバランスが崩れていくことに…。

エミリーは昇進したことでルークの上に立つことに細心の注意を払っていますが、ルークにとっては逆にその気遣いが癪に障ることになるわけです。

ルークはエミリーの方が自分より稼ぎ、仕事を指示される状況に耐えられなくなっていきます。エミリーの方が自分より上だと認めることができず、彼の自尊心が傷つけられたことでエミリーへの批判が加速していくことに。

ルークはエミリーの昇進はボスの誘いに応じたからだとほのめかし、エミリーの服装を批判してエミリーを傷つけることで自尊心を保とうとしているかのよう。

エミリーの昇進に対して職場の男性たちも素直に認める人が少なく、女性が成功することを揶揄する腐敗した企業文化にもメスを入れています。

ルークという人物

ルークはエミリーの昇進がきっかけで変貌してしまったのか、それとも元々クソ野郎だったのか…?前半はルークはやさしいナイスガイという印象ですが、彼がろくでなしだという付線がいくつか描かれています。

エミリーは婚約後すぐに母親に連絡しますが、ルークはエミリーの母親が婚約パーティーを企画してもまだ親に話していません。

社内恋愛は禁止なので、世界中に報告できたらいいのにとエミリーに囁いて、婚約指輪を外して仕事に行くようにと要求するところからもルークの本性が見て取れます。

仕事に関してもツメが甘くそのせいでエミリーに大損失を出させ、今度はインサイダー取引をするようにエミリーを説得しようするなど明らかに問題あり。マネージャーが解雇された後はキャンベルにひれ伏し、自分が後任になるべき理由を演説し大恥をかくことになります。

ルークはハンサムな白人のアイビーリーグ出身で、自分が特権階級にいることで何とかなるだろうという考えの甘さが見て取れます。

熾烈なヘッジファンドの世界では結果がすべてなのに、結果がついてこないルークにチャンスはありません。

出世できないと分かったとたん、エミリーとの交際をぶちまけエミリーを道連れにしようとするとんでもない卑怯な男。エミリーが出世していなくても、いずれルークの本性がどこかで現れ二人の関係は終わっていたはずです。

エミリーとルークの結末解説

後半では二人の関係が悪化して婚約パーティーが修羅場となり、ちょっと怖いホラーな様相を見せていきます。

婚約パーティーでルークはエミリーが上司と寝たから出世できたと非難し、二人は大喧嘩になりトイレの中で激しい口論へと発展。

そこでなぜか興奮状態からキスする二人ですが、ルークはエミリーを押さえつけ性的暴行し、エミリーを傷つけることで支配しようとします。

その後さっさと荷物をまとめてアパートを出て行こうとするルークに、エミリーが大激怒!これまでエミリーにしたことに対して一言も謝罪がなく、エミリーをレイプしたという認識すらありません。

エミリーはレイプを認めて謝るまでナイフで切りつけ、恐怖におののくリークは泣きじゃくりながら自分のやったことを認めて謝罪します。

ここまでしないと自分のやったことが悪いことだと認識できないルークは、もはやサイコパスかソシオパスと言わざるを得ないくらいヤバいろくでなし男。

エミリーの行動も正直怖いですが、これくらいしないとルークは謝罪しなかっただろうし、これがエミリーにとっての正義だったとも取れます。

自分をレイプしさんざん傷つけた恋人を斬りつけることが、エミリーにとっての「フェアプレー」だったのかもしれません。


『フェアプレー』のネット上での評判は?

『フェアプレー』まとめ

こじれていく恋人たちの関係をミソロジーを軸に描いたサスペンスで、いろいろと考えさせられました。ミソロジーやマチズモの問題は、地球がある限りなくならないのかも?と思ってしまいます。Netflixに加入されている方はぜひチェックしてみてください。

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