Netflixドラマ『アッシャー家の崩壊』後継者たちが謎の不審死を遂げていく…、呪われたアッシャー家の運命は⁉

出典元:https://www.tvinsider.com/

エドガー・アラン・ポーの短編怪奇小説を基に制作されたゴシックホラー・ドラマ。巨大な富と権力を持つアッシャー家の崩壊を描いスリリングなストーリーがおもしろい!本作のあらすじ・キャスト・感想・結末などを、ネタバレあり&なしで早速チェック!



『アッシャー家の崩壊』概要

製作・配給:Netflix
配信日:2023年10月12日
原題:The Fall of the House of Usher
ジャンル:ホラー、ヒューマンドラマ
製作国:アメリカ
原作:エドガー・アラン・ポー
制作:マイク・フラナガン
対象年齢:歳以上
話数:全8話 1話約60分
日本語吹き替え:あり

『アッシャー家の崩壊』あらすじ

ロデリック・アッシャーはフォーチュナート製薬のCEOで、妹のマデラインと共に巨万の富を築いた。

オキシコンチンの鎮痛薬「リゴドーン」の大成功により帝国を築き上げたが、多数の中毒者を出し世間から非難されていた。

ロデリックの子供たちが次々と謎の不審死を遂げていき、現場には必ずヴァーナという女性がいた。

フォーチュナート製薬を告発したオーギュストは、ロデリックから彼の過去やアッシャー家ついての話を聞き、アッシャー家の崩壊を招いた原因が次第に明かされていく。

『アッシャー家の崩壊』感想&海外評価

ROTTEN TOMATOES:批評家スコア90% 視聴者スコア92%
IMDb:7.7(10点中)
おすすめ度:★★★★★
ストーリー:★★★★★
エンタメ性:★★★☆☆
感動:★★★☆☆

エドガー・アラン・ポー原作の『アッシャー家の崩壊』がどう現代風に料理されているのかすごく楽しみにしていたのですが、期待以上の出来ですごくおもしろかったです。

ロデリックの子供たちが謎の不審死を遂げ、既に死ぬことが分かっている設定で話が進みます。そのためいつどこで誰がどうやって死んでしまうのか?という展開が、実にスリリングで興味を引きます。

ロデリックの過去、オキシコンチン鎮痛薬、家族の確執について、ロデリックが検事のデュパンに語る形式で進みます。

アッシャー家が謎の女ヴァーナに翻弄されて行く過程が恐ろしく、彼女の正体は?なぜアッシャー家に執着するのかという謎から目が離せません。

ゴシックホラーらしい恐ろしいシーンも登場し、特に第2話の仮装パーティーは思わず声を挙げそうになるくらいおぞましかったです、まさに地獄絵図…。

登場人物がお金持ちの胸くそ悪い奴ばかりで、『メディア王』のホラー版を観ているような気分になりました(笑)。ゾワッとするような不気味さが漂うなか濃い人間ドラマが描かれ、ポーの作品らしい詩的な作風も見事でした。

古典を現代風にうまくアレンジした成功例とも言え、こういう作品が今後もたくさん登場するような気がします。こういう作品をもっと観たいと思える、かなり満足感の高いドラマでおすすめです!


『アッシャー家の崩壊』キャスト

ロデリック・アッシャー(ブルース・グリーンウッド)

フォーチュナート製薬のCEOで、アッシャー家の帝国を築いた人物。母親の死がトラウマになっている。

マデリーン・アッシャー(メアリー・マクドネル)

ロデリックの妹でフォーチュナート製薬のCOO。非常に頭のいい優秀な人物で、ロデリックの右腕として働いている。

ヴァーナ(カーラ・グギーノ)

アッシャー家の子供たちを死へ導いた謎の女性。

C・オーギュスト・デュバン

フォーチュナート製薬を告発する検事補。ロデリックとは若い頃からの知り合い。

フレデリック(ヘンリー・トーマス)

ロデリックの長男で実子。一見兄弟姉妹の中で一番まともに見えるが、いい人の仮面を被っている。

ナポレオン(ラフル・コーリ)

ロデリックの息子。ロデリックの婚外子で、麻薬の売人をしながら贅沢な暮らしをしている。

タマレーン(サマンサ・スローヤン)

ロデリックの娘で実子。ライフスタイルブランド「ゴールドバグ」のローンチを控えている。

プロスペロー(クリスタル・バリント)

ロデリックの息子。ロデリックの婚外子で、クラブ経営をしようとロデリックに融資を頼む。

カミール・(ケイト・シーゲル)

ロデリックの娘。ロデリックの婚外子で、会社の広報を担当している。

ヴィクトリーヌ(タニア・ミラー)

ロデリックの娘。ロデリックの婚外子で、医師で心臓の人工弁の研究をしている。

アーサー・ピム(マーク・ハミル)

アッシャー家の弁護士。腕利きの弁護士であると当時に、フィクサー的な存在でどんな問題も処理する。

 

『アッシャー家の崩壊』全あらすじ・ラスト結末(ネタバレあり)

出典元:https://www.heavenofhorror.com/

ロデリック・アッシャーはフォーチュナート製薬のCEOで、妹のマデラインと共に巨万の富を築いた。オキシコンチンの鎮痛薬「リゴドーン」の大成功により帝国を築き上げたが、多数の中毒者を出し世間から非難されていた。検事補のオーギュストはリゴドーンの被害で製薬会社を告発し、ロデリックの子供たちが次々と謎の不審死を遂げていく。ロデリックの息子のプロスペローはクラブ経営をするために融資を頼むが断られ、製薬会社の古い建物を使い仮装パーティーを開く。兄のフレデリックの妻モレラを招待し、パーティーでスプリクラ―を使った演出をするが降ってきたのは有毒物質だった。

プロスペローは死に、モレラは瀕死の重傷を負う。若い頃のロデリックはフォーチュナート製薬の社員で、リゴドーンのアイディアをCEOのグリズウォルドに売り込みに行くが、アイディアを盗まれてしまう。1979年の大晦日、ロデリックはマデラインと一緒にバーで過ごすが、そこでヴァーナというバーテンダーと知り合った。ロデリックの娘ヴィクトリーヌは医師で人工心臓の研究をしており、実験台にチンパンジーを使っている。ロデリックの娘カミールはアッシャー家の広報担当をしているが、ヴィクトリーヌのことが気に入らない。

ロデリックの息子ナポレオンはゲイの恋人と高級マンションで暮らしているが、恋人の飼っている黒猫をドラッグのやり過ぎで殺してしまう。ロデリックの娘タマレーンはライフスタイルブランドの「ゴールドバグ」のローンチを控えているが、ヴァーナが接触してきて夫婦仲に亀裂が入る。カミーユはヴィクトリーヌの弱みを握るため夜に研究室へ行くが、研究室でチンパンジーに襲われて死んでしまう。ナポレオンは代わりの猫を探しに動物保護センターへ行くが、そこにヴァーナがいてナポレオンに黒猫を渡す。

フレデリックはモレナの入院後、ドラッグの使用量が増えていく。ナポレオンは攻撃的な黒猫のせいで精神的におかしくなり、ベランダにいる黒猫を捕まえようとするが転落死してしまう。ヴィクトリーヌは恋人のルイーズ医師のサインを偽装して人工心臓の人体実験に踏み切ろうとするが、それを知ったルイーズと喧嘩になり謝ってルイーズを殺してしまい、その後自殺する。1980年のロデリックはオーギュストに協力してフォーチュナート製薬の不正を暴こうとするが、マデラインの差し金でロデリックはオーギュストを裏切り妻のアナベルの信用を失う。

タマレーンはライフスタイルブランド「ゴールドバグ」のローンチで、ヴァーナに操られて発表会で暴れまわり、家に帰って家中の鏡を割って鏡に刺されて死んでしまう。アーサーはヴァーナについて調べ、各時代に大物と関わり年を取っていないことを知る。フレデリックは妻のモレラを自宅へ連れて帰るが、適切な治療を受けさせずベラドンナを投与して体を麻痺させ、虐待したのを娘のレオーナに知られてしまう。フレデリックはコカインに溺れ、ヴァーナに操られコカインにベラドンナを混ぜる。

プロスペローが死んだ建物の取り壊し工事で、フレデリックはコカインを吸うがベラドンナのせいで体が麻痺して動けなくなり解体工事の瓦礫の下に埋もれて死亡する。1980年の新年、ロデリックはオーギュストを負かしたことで、グリズウォルドの右腕となり昇進が決まる。ロデリックとマデラインはそれでは飽き足らず、グリズウォルドを建設中の新社屋の工事現場へ誘い込み、薬を盛って壁に閉じ込め生き埋めにする。二人はアリバイ作りのためにバーへ行き、バーテンダーのヴァーナと話し込むが、彼女は二人がグリズウォルドを殺害したことを知っていた。

ヴァーナはロデリックのマデラインと二人が成功し死ぬまで罪に問われず、次世代がそのツケを払い、血脈も途絶えるという契約を交わす。ヴァーナは契約通りすべてのアッシャー家の子供と孫を葬り、ロデリックはマデラインに薬を飲ませて殺害するが、ゾンビとなって甦りロデリックはマデラインに絞殺される。ペムは逮捕されて有罪となり、フォーチュナート関連で唯一の有罪事件となる。オーギュストはアッシャー家の墓の前に立ち、一羽の黒カラスがオーギュストを見ていた。


『アッシャー家の崩壊』見どころ・解説・考察(ネタバレあり)

ゾワっとするゴシックホラー

アッシャー家の崩壊』は古典小説を現代風にうまく料理したゴシックホラーで、ホラー度は高くないものの全体的にゾワッとさせる不憫な空気が漂っています。典型的なホラー作品とは一線を画す仕上がりで、ホラー要素よりストーリーに重点を置いた構成で見応えたっぷり。

登場人物が多く時系列もあちこち飛びますが、実に分かりやすくまとまっていてとっても観やすい。アッシャー家にまつわる秘密、フォーチュナート製薬の話、家族の確執を、ヴァーナという謎の女性をキーポイントにドラマ全体をうまく引っ張っていく展開が見事です。

現代が抱えるオピオイド問題を古典とうまく結びつけ、ダークでスリリングな物語に仕上げています。ポーの異なる短編小説をうまく組み合わせ、エドガー・アラン・ポーへのオマージュを散りばめているのも非常にうまい。

古典を現代風にうまくアレンジした成功例と言え、こういう作品が今後もっと登場するような気がします。

アッシャー家の人々

物語の大半はフラッシュバックで語られ、ロデリックがオーギュストに語りかける構成になっています。ロデリックの話を通してアッシャー家の家族構成と物語が語られ、富豪の胸くそ悪い物語はまるでホラー版『メディア王』のよう(笑)。

ロデリックの子供6人が不審死を遂げるという前提で物語が進みますが、6人のうち二人が実子で4人が婚外子となっています。やはり実子と婚外子の間では溝があり、末っ子で私生児のプロスペローは長男で実子のフレデリックとの軋轢がすごい。

ところがフレデリックとタマレーンもロデリックに格別愛されているわけでもなく、子供達6人とも父親への承認欲求が半端ない。

親の愛情が足りないとこうなってしまうという典型的な例で、やはり全ての元凶はロデリックの愛情不足。巨万の富があり金銭的には裕福でも、アッシャー家は決して心は豊かではありません。

最後のシーンでオーギュストがアッシャー家の墓を前に、これから自分は家族の元へ帰ると言い、自分は世界一豊かな男だという台詞が胸に刺さります。

ロデリックという人物

出典元:https://deadline.com/

ロデリックの母親はフォーチュナート製薬のロングフェロー社長の秘書で、ロデリックとマデラインは社長との婚外子ということになっています。ロデリックは大人になってフォーチュナート製薬に勤めますが、認知してもらっていなかったため苦難の道を辿ることに…。

ロデリックはマデラインと結託して、母親を助けてくれなかった製薬会社に復讐するような形となります。痛みに苦しんだ母親を見ていたロデリックが、痛みを取り除く鎮痛薬「リゴドーン」を生み出します。

「リゴドーン」のアイディアを社長のグリスウォルドに売り込むも、アイディアを横取りされることに。ロデリックにとって自分の計画を邪魔するクリスウォルドと、母を死に追いやったロングフェローは自分にとっての敵討ち。

フォーチュナートを手に入れることが母親が浮かばれる唯一の道と考えていますが、彼の開発したリゴドーンが多くの中毒者を出すという皮肉な結果となります。

それでもロデリックの罪の意識は薄く、ロデリックにとってリゴドーンはフォーチュナート製薬を手中に収める、ひとつの駒に過ぎなかったのかもしれません。

ロデリックはヴァーナとの契約でためらうことなく地位と権力の代わりに、自分の子供たちの命を差し出す冷血男。子供たちへの愛情が薄く人間性に欠けるところがあり、その強欲さが自らの破滅を招くことになります。


ヴァーナの正体は何だったのか?

物語の冒頭から謎の存在として登場したのがヴァーナという女性。アッシャー家とどういう関係があるのかなかなか明かされず、視聴者はかなりやきもきしたはず。ヴァーナがアッシャー家の子供たちを次々と死に追いやる理由は何なのか、彼女の正体は一体…?と謎が深まります。

最終話でヴァーナはロデリックが若い時に知り合ったバーテンダーで、ロデリックとマデラインが成功し死ぬまで罪に問われないが、次世代がそのツケを払い血脈も途絶えるという契約を交わす相手だと分かります。

ドラマ内では完全にヴァーナは一体何者だったのかは説明されていませんが、海外サイトを調べると「ヴァーナは変身する悪魔で超自然的な能力を持っており、新しい人格に変身したり自分の望むものを見せたりすることができる。」と説明にありました。

ヴァーナはエドガー・アラン・ポーのどの作品からも直接引用されていないものの、ポーの最も有名な物語詩 『大鴉』のアナグラムとして機能しています。

ヴァーナは各時代の大物と関わりがあり、アッシャー家と製薬会社にとどめを刺したことからも、悪い権力者たちに正義を下す悪魔なのかもしれません。


『アッシャー家の崩壊』がさらにおもしろくなるトリビア

本作はエドガー・アラン・ポーの短編小説『アッシャー家の崩壊』を基に制作されていますが、他の短編小説からも多くストーリーが引用されています。

ナポレオンが黒猫に悩まされるエピソードは、ポーの短編小説『黒猫』が基になっています。他にもプロスペローが開く仮面パーティーの話は『The Masque of the Red Death(原題)』、全編を通して現れるカラスはポーの詩集『大鴉』をモチーフにしています。

マーク・ハミルが演じるアッシャー家の弁護士アーサー・ピムは、ポーの冒険小説『アーサー・ゴードン・ピムの物語』の登場人物。小説の主人公は青年ですがハミルが演じたのは年老いた弁護士で、キャラクターとの間に明らかなつながりはありません。

タマレーンがローンチするライフスタイルブランド「ゴールドバグ」は、ポーの短編『黄金虫』からの引用です。

ロデリックを告訴する検事C・オーギュスト・デュパンは、ポーの小説『モルグ街の殺人』に登場する探偵の名前。デュパンはシャーロック・ホームズの前身と言われ、『モルグ街の殺人』は世界初の推理小説と言われています。

1841年当時はまだ推理小説というジャンルが存在しておらず、ポーは探偵小説を作り出した元祖的な作家です。

ロデリックの6人の子供たちの名前も、ポーの作品に登場する名前から引用されていて、ポーの作品の多くが『アッシャー家の崩壊』に引用されています。ドラマのエピソードタイトルもポーの作品から付けられています。

参考記事:
Which Edgar Allan Poe Stories Are in ‘The Fall of the House of Usher’?
Verna, Carla Gugino’s Character In The Fall Of The House Of Usher, Explained

『アッシャー家の崩壊』のネット上での評判は?

『アッシャー家の崩壊』まとめ

想像していた以上にエドガー・アラン・ポーの作品を細かくオマージュし、ストーリー性も抜群でクオリティの高い作品に仕上がっています。スリリングなサスペンス・ミステリーが好きな方におすすめで、Netflixに加入されている方はぜひチェックしてみてください♪

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