Netflix映画『ペイン・ハスラーズ』製薬会社の闇に切り込む、実話を基にしたヒューマンドラマ

出典元:https://happeningnext.com/

成功していく一人の女性の生きざまと、製薬会社の闇を描いたヒューマンドラマ。エミリー・ブラントとクリス・エヴァンスが共演する、豪華キャストも見どころです。本作のあらすじ・キャスト・ネタバレ・感想などを、ネタバレあり&なしで早速チェック♪



『ペイン・ハスラーズ』概要

製作・配給:Netflix
配信日:2023年10月27日
原題:Pain Hustlers
ジャンル:ヒューマンドラマ
製作国:アメリカ
監督:デヴィッド・イエーツ
対象年齢:16歳以上
上映時間:2時間4分
日本語吹き替え:あり

『ペイン・ハスラーズ』あらすじ(ネタバレなし)

ライザ・ブレイクは学歴も職歴もなく、しがないストリップクラブでダンサーをしていた。客としてやってきたザナ製薬の営業マンのピート・ブレナーと知り合い、名刺を渡される。

生活に切羽詰まったライザはピートに会いに行き、自分を売り込み営業マンとして雇ってもらう。

ザナ製薬が推す鎮痛剤のロナフェンの処方箋を医師に書かせるようピートに指示され、ライザはあの手この手で医師に売り込んでいくが、あることをきっかけにライザの運命が大きく動きだす。

『ペイン・ハスラーズ』感想&海外評価(ネタバレなし)

ROTTEN TOMATOES:批評家スコア22% 視聴者スコア%
IMDb:6.1(10点中)
おすすめ度:★★★☆☆
ストーリー:★★★☆☆
エンタメ性:★★★☆☆
感動:★★★☆☆

アメリカはオキシコンチンをはじめとする鎮痛薬の問題が深刻で、今回はオキシコンチンではなくフェンタミルが問題の根源として登場します。

無一文のシングルマザーが経歴詐取してでも成功しようと、どん底から這い上がるストーリーがおもしろい。『エリン・ブロコビッチ』と『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』を彷彿させる作品で、前半はライザの成功物語として楽しめます。

後半は一転して金儲け主義の製薬会社や、命を軽んじる医療界の闇に切り込んでいくことに。製薬会社の実態をテンポよく分かりやすく描いていますが、内容がシリアスな割にはエンタメ性を意識しすぎな気もします。

オピオイド問題を扱った作品が多いため二番煎じという感じは否めないし、マイケル・キートン主演の『DOPESICK』が傑作だっただけに、評価は普通という感じです。

豪華キャストでNetflixも力を入れた作品という印象なのに、Rotten Tomatoesの評価が22%と異常に低い。シリアスな内容を、エンタメ性寄りにし過ぎたのがいけなかったのかも?個人的にはテンポがよかったし、飽きることなく最後まで視聴できた作品でした。

エミリー・ブラントの安定の演技力で安心して見られる作品で、クリス・エヴァンスはこういう役柄もハマっていてなかなかよかった♪

それにしても製薬会社のえげつないやり方を見ていると、本当に気分が悪くなってしまいます。実話を基にした作品や、テンポのいいヒューマンドラマが好きな方におすすめです。


『ペイン・ハスラーズ』キャスト

ライザ・ブレイク(エミリー・ブラント)

生活に切羽詰まったシングルマザー。ザナ製薬のピートと出会い、営業マンとして働くことになり人生が大きく変わっていく。

ピート・ブレナー(クリス・エヴァンス)

ザナ製薬の営業マン。ストリップクラブで知り合ったライザの素質を見抜いて、営業員として雇う。

ジャック・ニール(アンディ・ガルシア)

ザナ製薬に投資している博士。ライザのおかげで、鎮痛剤ロナフェンが大成功を収める。

ネイサン・ランデル(ブライアン・ダーシー)

ライザにロナフェンを勧められる町医者。

ジャッキー(キャサリン・オハラ)

ライザの母親。天然成分の化粧品を開発中で、ライザがザナ製薬で働きはじめ、自分も営業員となる。

 

『ペイン・ハスラーズ』全あらすじ・ラスト結末(ネタバレあり)

出典元:https://www.imdb.com/

ライザは学歴・職歴なしのシングルマザーで、ストリップクラブで働いている。客としてやってきたザナ製薬の営業マンのピート・ブレナーと知り合い、ライザのことを気に入ったピートは名刺を渡す。

ライザはピートのところへアポなしで押しかけ、自分を売り込む。ピートはライザの履歴書を経歴詐取して投資家のジャック・ニールに見せ、ライザは雇われる。

ザナ製薬は8000万ドルの負債を抱え、状況から脱却すべく新薬の鎮痛剤ロナフェンの処方箋を医師に書かせるようライザに指示する。ライザはあの手この手で医師たちにロナフェンを勧めるが、思うようにいかない。

町医者のネイサン・ライデルのところへ行ったとき、癌の痛みと口内炎で悩む患者にロナフェンを処方するよう勧め、処方箋を書かせることに成功する。

製薬会社の悪しき慣習で、製薬会社が医師を旅行や接待でもてなすセミナープログラムが横行していたが、ザナ製薬には接待するお金がない。

ライザは少額を使ってライデルを接待し、処方箋を出したことへの謝礼金を渡し、薬をロナフェンに変えることを確約させる。

ライデルは処方箋を多くの患者に出し、ライザは途方もない報酬をザナ製薬から受け取り成功の階段を上っていく。

高級車に大きな家を手に入れ生活が一変するが、娘フィービーの脳に異常が見つかってしまう。ライザは自分と同じような経歴の営業員を雇ってチームを作りロナフェンを売り込み、ロナフェンのおかげで癌患者が痛みから解放されていく。

ライザはやり方は汚くても癌患者を救っていると思っていたが、売り上げが横ばいになりジャックとピートは癌患者以外にも処方するよう、医師たちに適応外処方させるよう圧力をかける。処方された患者がロナフェンに依存し死者が出始め、ライザは死者が出たことで自責の念にかられる。

営業員として働いていたライザの母ジャッキーが、パーティーの夜ジャックと一夜を共にする。ジャックの奇行が目立ち始め、ジャッキーとその後メールでやりとりするが、ライザにジャッキーを解雇するように言い渡す。

ライザは死者が出ても何もしない会社に不信感を抱き、連邦検事局へ行き会社を告発する。フィービーの脳の手術が成功し、快方へ向かう。検事はジャックがロナフェンの適応外処方を命じた証拠を探せと言い、ライザはジャッキーとジャックのメールのやり取りを証拠として提出する。

ライデルは適応外処方の現場を押さえられて逮捕され、ピートやジャックも裁判で有罪となる。会社を告発したライザも1年3ヶ月の実刑判決を受け、出所後は母親が作る天然化粧品の販売をしている。


『ペイン・ハスラーズ』見どころ・解説・考察(ネタバレあり)

ライザの成功物語

前半は無一文のシングルマザーが逆境から脱しようと、製薬会社の営業員となり成功していく姿が描かれます。ライザは学歴なし・職歴なしの、ないないづくしですが度胸と肝っ玉の座り方は人一倍。

失うものがない分恥はかき捨てと、一度話しただけのピートをアポなし訪問しチャンスをくれと自分を売り込みます。

どん底から這い上がるライザの猪突猛進振りが気持ちよく、絶対に成功してやるというハングリー精神がとにかくスゴイ。

自分を信じる気持ちがしっかりとあり、その想いが本物だからこそブレない芯の強さが人を魅了します。人を取り込んでいく天賦の才能があり、いい意味の人たらし。こんな人はそうそういないと言える人物で、どこか『エリン・ブロコビッチ』を彷彿させます。

鎮痛薬問題

アメリカはオピオイドを中心とする、鎮痛剤の問題が本当に深刻です。『DOPESICK』『ペインキラー』などオピオイド問題を扱った作品がありますが、本作はフェンタミルが問題の根源となっています。

ザナ製薬が開発したロナフェンは癌患者の痛みを緩和するための鎮痛剤で、劇的な効果をもたらすことに。ところがロナフェンは中毒性のあるフェンタミルを使用しているため、過剰摂取者が出る可能性もあるわけです。

臨床結果では過剰摂取者は1%のみということでしたが、ロナフェンは癌患者用のため臨床患者は全員癌患者。過剰摂取の兆候が出る前に、患者が亡くなるため臨床結果では1%に留まっていました。

臨床結果を鵜呑みにしてしまったとライザは後悔しますが、そもそも癌患者以外に適応外処方したのが大きな間違い。頭痛やその他の痛みに使用する患者が増えたことで、フェンタミルに依存し死者が出てしまうことに…。

鎮痛剤の恐ろしさを改めて考えさせられる内容で、何も知らずに処方される患者に全く罪はなく、それをコントロールするはずの製薬会社と医師が金儲けに走ってしまうところに怒りを隠せません。

製薬会社の闇とライザの告発


前半はライザの成功物語として楽しく観れるのですが、中盤辺りから違った様相を見せてきます。ロナフェンが大成功を収め、ライザは成功の階段を上っていくことになりますが、ここで物語は終わりません。

ロナフェンの効果で多くの癌患者の痛みが緩和したことから、売り上げが横ばいになり、ジャックとピートは適応外処方して売り上げを伸ばそうと画策します。

この辺りからライザが何かが違うと感じるようになっていき、ザナ製薬は患者の痛みを救うという目的から金儲け主義へと転換することに。

ザナ製薬以外でも、医師のライデルは適応外分のリベートを25%をよこせと迫る銭ゲバぶりを発揮して、金の亡者へと変貌。

製薬会社も医師も調子に乗ってだんだんがめつくなり、間違った方向へと行ってしまう様が恐ろしく、製薬会社の闇をがっつりと見せられることになります。

適応外処方の余波は大きく、ついに死者を出してしまうことに…。ここで自責の念に駆られるのはライザのみで、ピートやジャックは金儲けのことしか考えていません。

ライザの猪突猛進して成功していく姿もかっこよかったですが、これ以上被害が拡大しないよう告発する勇気が素晴らしい。

自分のしたことの非を認め実刑判決を受け、自らの過ちと向き合うライザが清くて、彼女のような人がいたことがせめてもの救いと言えるのかもしれません。


『ペイン・ハスラーズ』のネット上での評判は?

『ペイン・ハスラーズ』まとめ

アメリカの鎮痛剤と製薬会社の闇に切り込んだ映画で、テンポがよくて観やすい仕上がりです実話を基にした昨比が好きな方におすすめでで、Netflixに加入されている方はぜひチェックしてみてください。

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