Netflix『トランスアトランティック -世紀の亡命プロジェクト-』難民をナチス占領下のフランスから避難させた、勇気ある人々の物語

出典元:https://www.netflix.com/

ナチス占領下のフランスから2000人以上の難民を避難させた、緊急救助委員会の実話を基に製作されたリミテッド・シリーズ。自らの危険を顧みず難民の命を救った、勇気ある人々の物語です。本作のキャストや見どころなどを、ネタバレなしでレビューします♪



『トランスアトランティック -世紀の亡命プロジェクト-』概要

製作・配給:Netflix
配信日:2023年4月7日
ジャンル:ヒューマン・ドラマ
製作国:ドイツ
話数:全8話、1話約50分
日本語吹き替え:なし

『トランスアトランティック -世紀の亡命プロジェクト-』あらすじ

1940年のフランス、マルセイユ。ナチス占領下のフランスではドイツからの避難民が押し寄せ、難民による他国へのビザ申請は許可が下りるのが難しい状況だった。

資産家の娘メアリーは自身の財力を使い難民を助けようと独自で活動していたが、緊急救助委員会の代表ヴァリアンに協力するようになる。

ドイツから逃れてきたアルベルトは緊急救助委員会のメンバーとなり、委員会は難民のためのビザの申請や密出国の対応に忙しくなる。

ヴァリアンの友人トーマスが難民のために田舎の屋敷を提供し、メアリーは資金繰りのため奔走することに。

ナチスによる支配が激しくなるなか、緊急救助委員会はできるだけ多くの難民を外国へ避難させようと、自らの危険を顧みず亡命計画を実行する。

『トランスアトランティック -世紀の亡命プロジェクト-』感想&評価

ROTTEN TOMATOES:批評家スコア 33% 視聴者スコア 77%
IMDb:6.5(10点中)
総合評価:★★★☆☆
ストーリー:★★★☆☆
エンタメ性:★★★★☆
感動:★★★☆☆

筆者の好きなNetflixドラマ『アンオーソドックス』の製作陣が手掛けたドラマとあり、期待してたのですが少し残念な印象でした。

『アンオーソドックス』はニューヨークで暮らすユダヤ教超正統派の女性が、宗教と生き方を変えて人生をやり直すドラマです。

正直同じようなシリアスな作風を期待してたのですが、少しエンタメ性を意識し過ぎでいろいろ詰め込み過ぎた印象です。

亡命プロジェクトなのにハラハラどきどき感が少ないし、全体的に中途半端な印象でした。ストーリー的にはおもしろいし、エンタメ性を意識している分飽きずに最後まで楽しめます。

1940年代のフランスのファッションやカルチャーも見どころのひとつで、戦争が激化する前の華やかなヨーロッパの雰囲気も楽しめます。

第二次世界大戦が舞台の割には、戦闘シーンや暴力シーンがすごく少ないため安心して観られるはず。

実話から着想を得たドラマのため、実際にこういうことがあったんだと思いながら観るとより楽しめるのではないでしょうか。

まだアメリカが第二次世界大戦に参戦する前の話で、アメリカの大統領選やヨーロッパの政治事情も描かれ、当時の歴史の勉強にもなるかもしれません。

期待していたほどではなかったものの、トータル的には楽しめる作品に仕上がっています。


『トランスアトランティック -世紀の亡命プロジェクト-』キャスト

メアリー・ジェーン・ゴールド(ジリアン・ジェイコブス)

アメリカの資産家の娘。財力を活かして難民を助けるうちに、緊急救助委員会に協力するようになる。

アルベルト・ヒルシュマン(ルーカス・イングランド)

ドイツから避難してきたユダヤ人青年。妹をスペインへ送った後、自分はマルセイユに残り緊急救助委員会のメンバーとして活躍する。

ヴァリアン・フライ(コーリー・マイケル・スミス)

緊急救助委員会の代表。難民を助けるため、ビザの発行や移動の手段など亡命するための段取りを執り行っている。

トーマス・ラブグローブ(アミット・ラハヴ)

ヴァリアンの友人。田舎の屋敷を開放して難民を滞在させ、緊急救助委員会の手助けをする。

グラハム・パターソン(コリー・ストール)

アメリカ領事館の領事。メアリーのことを気に入っているが、緊急救助委員会を目の敵にしている。

ポール・カンジョ(ラルフ・アムス)

ホテルのコンシェルジュ。ナチスを倒すため、レジスタンスを結成しようとしている。

リサ・フィトコ(デレイラ・ピアスコ)

緊急救助委員会のメンバー。スペインへ密入国する秘密のルートに詳しい。

ハイラム・ビンガム(ルーク・トンプソン)

アメリカ領事館の副領事官。良心のある人で、難民を助けるためビザ発給に協力する。

 

『トランスアトランティック -世紀の亡命プロジェクト-』見どころ・解説・考察

実話を基にしたドラマ

筆者は本作が実話を基にしていることを、最終話のテロップで知り驚いてしまいました。最初から実話だと知って観た方が絶対おもしろかったかも!と、その点が少し残念です。

ドラマ用に大部分を脚色しているのは想像できますが、自らの危険を顧みず難民を助ける緊急救助委員会の活躍には拍手を送りたくなります。

同時に罪のない人たちが国を追われ迫害される姿は、やるせない気持ちにさせられました。

ホロコーストの救済がテーマと言えば『シンドラーのリスト』が有名ですが、シリアスな作風を予想すると少し肩透かしを食らうかもしれません。

亡命プロジェクトがテーマなら、もう少しシリアス路線でもよかったのでは?と思えてしまいます。

それでも困難な状況下で難民のために尽力した人々の活躍を観るのは意味があるし、彼らの行いが戦争という悲惨さのなかに輝く希望だったことは間違いありません。

お嬢様メアリーの活躍

主人公のメアリーはアメリカの資産家の娘で、財力を使い難民のために人助けをしています。

美人で華やかな雰囲気でいかにも苦労知らずのお嬢様ですが、緊急救助委員会のメンバーになってからも世間知らずと脇の甘さでたびたびトラブルを起こすことに…。

温厚な委員会リーダーのヴァリアンが、「お前マジか⁉」と激怒するほどの大失態をしてしまうくだりは、メアリーの考えが足りなさ過ぎてもう笑うしかない。

それでも彼女の人助けがしたいというまっすぐな心と行動力は爽快ですらあり、そこまでできる人はなかなかいないと素直にスゴイと思えます。


それぞれの人間模様

難民を助ける亡命プロジェクト以外に、委員会のメンバーたちの人間模様も見どころのひとつ。戦争下という苦難の状況のなかで、それぞれが抱く問題、悩み、葛藤、生き方を描いています。

恋愛ネタやメロドラマ展開は不要の気もしましたが、シリアスで重いドラマは苦手という方は、本作のようなテイストがしっくりくるかもしれません。

この状況下でハッピーエンドにならないのは仕方ないと分かりつつも、ラストはまるでカサブランカのようで何だか切ない気持ちにさせられました。

戦争という鏡

本作には自分の立場が一番大切な人、危険を顧みず他人を助ける良心の人、戦争を利用して私利私欲に走る人、と様々なタイプの人間が登場します。

戦争という独特な状況だからこそ、その人の本性が表れるとも言えるかもしれません。スパイや密告者が溢れるなか、誰を信用していいかも分からず、相手を信用できるかどうかも自分次第というのがとってもむずかしい。

人を信じるか信じないか、自分はどう行動するかなど人間としての器量が試され、戦争という状況が人を映す鏡のように思えてしまいます。

『トランスアトランティック -世紀の亡命プロジェクト-』のネット上での評判は?

『トランスアトランティック -世紀の亡命プロジェクト-』まとめ

多少残念な点もありましたが、普通におもしろかったし最後まで飽きずに楽しめるドラマです。

1話50分全7話と短いリミテッド・シリーズなので、短い時間で完結するドラマが観たいときにもお勧めです。Netflixに加入されている方は、ぜひチェックしてみてください♪

 

 

スポンサーリンク
海外ドラマNetflix
DraMagazineをフォローする
スポンサーリンク
スポンサーリンク
DraMagazine