Netflix映画『ザ・キラー』殺し屋が復讐に燃えるダークなサスペンス、デヴィッド・フィンチャー監督作!

出典元:https://ayther.fr/

任務に失敗した殺し屋が、雇い主と同業者相手に復讐していくサスペンス映画。デヴィッド・フィンチャー監督らしい、ダークかつ哲学的な世界観の作品に仕上がっています。本作のあらすじ・キャスト・感想・結末などを、ネタバレあり&なしで紹介します。



『ザ・キラー』概要

映画『ザ・キラー』概要
製作・配給:Netflix
配信日:2023年11月10日
原題:The Killer
ジャンル:犯罪、サスペンス
製作国:アメリカ
監督:デヴィッド・フィンチャー
対象年齢:16歳以上
上映時間:1時間59分
日本語吹き替え:あり

『ザ・キラー』あらすじ(ネタバレなし)

殺し屋を生業にする男、キラーは冷静沈着に数々の暗殺を行ってきたが、パリのある任務で失敗してしまう。恋人の居るドミニカへ戻るが、そこで個人的な恨みからクライアントと同業者の殺し屋を追跡することになる。

キラーは数々の名前、銀行口座、クレジットカードを使いながら移動し、クライアントの身元を突き止める。

『ザ・キラー』感想&海外評価(ネタバレなし)

ROTTEN TOMATOES:批評家スコア87% 視聴者スコア76%
IMDb:7.3(10点中)
おすすめ度:★★★★☆
ストーリー:★★★★☆
エンタメ性:★★★☆☆
感動:★★★☆☆

フィンチャー監督らしいダークでスタイリッシュな世界観健在の作品で、やっぱり巨匠はすごい!

これまでの作品は『ファイトクラブ』『ゲーム』『セブン』『ゴーンガール』のように、ツイストやどんでん返しがある一筋縄でいかないストーリーがフィンチャー監督の魅力だったように思います。

今回は殺し屋が復讐のためにクライアントを追っていく淡々としたストーリーに、殺し屋の流儀や哲学をキラーのナレーションで説いていくフィンチャー監督の新境地といった仕上がり。

一見ソシオパスな殺し屋の復讐劇ですが、奥には彼の行動に隠された目的を視聴者に分析させる、というような意図が隠されているようにも思います。

淡々とした物語ながら直球で分からない、というところがフィンチャー監督らしいと言えるかもしれません。ザ・スミスやサイケデリック・ファーズをフューチャーした選曲もよかった!

緊張感のあるサスペンス映画が好きな方におすすめで、フィンチャー監督ファンの方も必見です。


『ザ・キラー』キャスト

暗殺者/キラー(マイケル・ファスベンダー)

長年殺し屋業で生きてきた暗殺者。パリでの任務に失敗した後、個人的な恨みからクライアントを追跡する。

クレイボーン(アーリス・ハワード)

キラーのクライアントで、億万長者のヘッジファンド・マネージャー。

マグダラ(ソフィー・シャーロット)

キラーの恋人。ドミニカ共和国に住み、キラーが暗殺者ということを知りながらも付き合っている。

ホッジズ(チャールズ・パーネル)

ニューオーリンズの弁護士。

ドロレス(ケリー・オマリー)

ホッジズの秘書。

エキスパート(ティルダ・スウィントン)

殺し屋で、キラーの復讐相手の一人。

 

『ザ・キラー』全あらすじ・ラスト結末(ネタバレあり

出典元:ollywoodreporter.com/

キラーは殺し屋でパリで暗殺の任務を遂行するため、窓から標的が現れるのを張り込みしている。標的の男がアパートに戻りキラーは狙いを定めるが、男が雇った娼婦を誤って射殺してしまう。慌てて証拠品を全て処分し、偽物のパスポートでドミニカ共和国に住む恋人のもとへ飛ぶ。

家に着くと激しく争った形跡があり恋人の姿はなく、キラーは慌てて病院へ探しに行く。恋人の弟が居て二人組に襲われ、一人は綿棒のように細い女性で、タクシーのような緑の車に乗って走り去ったと話す。キラーは庭に埋めた金庫の中から銃を取り出し、タクシーの運転手を突き止める。

キラーは恋人を襲った暗殺者を乗せたタクシー運転手を殺害し、その後ニューオーリンズへ行く。弁護士のホッジズに自分を含む暗殺者が載ったリストのコピーを渡せと脅し、ネイルガンで胸に3発打つが聞き出す前に死んでしまう。秘書のドロレスとホッジズの自宅へ行き、暗殺者とクライアントが載った住所を見つける。

ドロレスに子供たちに保険金が入るように殺してほしいと頼まれ、キラーは彼女の首の骨を折って階段から突き落とした。キラーはホッジズとドロレスの死体を船で運んで処分した後、フロリダへ行く。フロリダでリストに載った男性の家へ行き、男を殺害して家に火をつけた。

キラーはニューヨークへ行き、恋人を襲った女性暗殺者のエキスパートの居場所を突き止める。レストランでエキスパートと話し、彼女はキラーに殺されることを受け入れていた。エキスパートを殺害した後シカゴへ行き、口座をカリブへ移しアメリカを去る準備をする。

キラーはクライアントのクレイボーンの家へ行き、クレイボーンはホッジズに15万ドルの追加金を払い、後始末することに同意したことを認めた。キラーはクレイボーンを殺さなかったが油断するなと脅して去り、カリブで海を眺めながら恋人と過ごす。


『ザ・キラー』見どころ・解説・考察(ネタバレあり)

殺し屋の復讐劇

キラーはパリでの任務に失敗しますが、クライアントによる失敗の後始末のために恋人が巻き込まれて大怪我を負ってしまいます。

恋人をひどい目に合わせた人物を探し出すため、ニューオーリンズ、フロリダ、ニューヨーク、シカゴと身分を隠しながら追跡していくことに。

必殺仕事人のごとく、一人また一人と標的を抹殺していく様が恐ろしい。感情移入しないといつも言い聞かせて仕事をするキラーが、恋人を痛めつけた人物に復讐していくという完全感情移入型の復讐劇を始めるところがおもしろい。

キラーが復讐を果たすまでを、彼の心理描写と殺し屋流儀をしっかり反映させた緊張感のある展開で描いています。

キラーの人物像

『ザ・キラー』の主人公は名無しで実名は登場せず、いくつものパスポート、身分証、クレジットカードを使って身分を偽っています。

パリの任務で標的が現れるのを何日も待つシーンでは、自分の仕事や人生を私的に語りかなり哲学的な考えの持ち主のよう。標的を狙う時には心拍数を1分間に65回以下に下げるなど徹底的なこだわりを見せ、仕事に対する自信もすごい。

淡々と復讐をこなしていく冷静沈着な表情と、感情移入しない冷酷な仕事ぶりはまるでソシオパスとも取れるかもしれません。

それでもドロレスに対し彼女の望む通り子供に保険金が残るように事故に見せかけ殺害し、殺し屋の飼い犬は生かしておくなど少なからず情けを見せるところも。

哲学的な御託を並べるキラーのナレーションからは、彼の思慮深さと同時に物事をシンプルに捉えることができない複雑な内面も見て取れます。

キラーの行動と結末の解説

後半で登場するエキスパートは、キラーの行動について何度も熊の的を外し自ら辱めを受ける狩人の話で説明します。熊と狩人の例え話はキラーという人物を表す比喩で、結局キラーは自分の仕事の汚い部分や屈辱を楽しんでいると言えるかもしれません。

同じ同業者としてエキスパートはキラーの仕事をよく理解していて、パリでの仕事もわざと的を外したとさえほのめかします。

キラーがもしわざと失敗したのだとしたら、その理由は何なのか。殺し屋としての人生を後悔し、この騒動に関わった人達全てを罰したかったのか?それとも暗殺者生活から足を洗い、未解決の問題をすべて解決し恋人と引退生活を楽しみたかったのか。

あるいは殺しに伴う痛みや残酷さが好きで、殺し屋という汚い仕事にハマっているだけなのか。キラーはホッジズのパソコンを調べればすぐにリストを手に入れることができたのに、ネイルガンでパソコンとホッジズを釘づけにして情報を得る前に息の根を止めてしまいました。

わざわざ遠回りする道を選ぶのは、難しい方法を取るのを楽しんでいるようにも見えます。結局キラーは自分の仕事の汚さが好きで、殺しに心酔してるようにも見えました。

ラストでキラーは引退後の生活を安心させるためにやっただけだと主張して、自分が暗殺者という仕事に完璧に適した数少ない人間だと自負して物語は終了。

全体的に白黒つけにくい内容で、結果的にどうキラーと物語を捉えるのかは視聴者次第ということなのかもしれません。


『ザ・キラー』のネット上での評判は?

『ザ・キラー』まとめ

フィンチャー監督のダークな世界観をそのまま体現した作品でしたが、仕上がりとしては新たな新境地を開いた作品という印象です。

フィンチャー監督らしい緊張感に満ちた作品で、フィンチャー・ファンは必見かと思います。Netflixに加入されている方は、是非チェックしてみてください♪

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