『FARGO/ファーゴ』シーズン4 人種差別が激しい50年代を舞台に、ギャング抗争を描いたサスペンス・ドラマ

出典:https://los40.com/

1996年のコーエン兄弟による映画『ファーゴ』に着想を得たドラマ・シリーズ。オリジナル版の世界観はそのままに、新たな物語として生まれ変わっています。普通の人が犯罪に巻き込まれ自ら罪を重ねていく、ユニークな展開が視聴者を引き込んでいく最高におもしろいサスペンス・ドラマ。 シーズン4の見どころなどを、ネタバレなしでチェック!


『FARGO/ファーゴ』シーズン4あらすじ

1950年代ミズーリ州カンザスシティを舞台に、人種差別の激しい時代にイタリア系ギャングと黒人ギャングの抗争を描いたドラマ。

カンザスシティのマフィア・グループは息子を交換することで抗争を避ける習慣があり、イタリア系ギャングと黒人ギャングは末息子を交換する。

病院に勤める看護婦のオラエッタは患者を秘密裏に殺害し、患者の遺品を集め葬式に出席するサイコパスな女性だった。オラエッタのアパートの向かいに住む高校生のエセリルダは、オラエッタの正体を知ることとなる。

イタリア系ギャングのジョストとガエターノ兄弟の対立で分裂の危機のなか、イタリア系ギャングと黒人ギャングの抗争が激しくなっていく。

刑務所を脱獄したエセリルダの叔母ゼルメアは、黒人ギャングのロイ・キャノンが所有する会社から現金を強奪する。

現金強奪がイタリア・ギャングの仕業とロイが勘違いしたことから、思ってもいない方向へと物事が進んでいく…。

シーズン3のキャスト&レビューはこちら ↓

『FARGO/ファーゴ』シーズン4を視聴した感想

シーズン4は今までのシーズンと異なり、『ファーゴ』特有の寒々とした田舎の雪景色とは違った雰囲気に仕上がっています。

物語もシーズン1~3の普通の人が事件に巻き込まれる展開ではなく、ギャング抗争を描いているのが特徴。個人的にはシーズン1~3の方が好きだったかな…。

シーズン4は人種差別の激しい時代におけるギャング抗争や子供をトレードする習慣など、おもしろい設定が揃っているのにテンポがゆっくり過ぎて何だか惜しい印象です。

物語自体はおもしろく、看護婦オラエッタや高校生のエセリルダのサブプロットもよくできていて、相変わらず緻密な脚本が素晴らしかった!

スローテンポ過ぎたのでもう少しテンポよく描いたら、ギャング抗争らしいエキサイティングな仕上がりになったかな?という気がします。

シーズン4の黒人ギャングは、シーズン2でファーゴのゲアハルト一家と対立するカンザスシティのギャングと同じなのかしら?と思って調べてみると、ウィキペディアに”シーズン4はシーズン2と数人の登場人物が共通している“とありました。

シーズン4に登場する黒人ギャングは、シーズン2のカンザスシティのギャングの50年代の抗争を描いている物語だったんですね。

『ファーゴ』は各シーズンが独立したアンソロジードラマですが、シーズン同士で設定や登場人物がクロスオーバーしているのがおもしろく、イースターエッグ探しのような魅力があるのも好きです!


『FARGO/ファーゴ』は実話?

ドラマの冒頭で「生存者の希望で名前は変えてあるが、死者への敬意を込めてその他は忠実に描いた」とテロップが映ります。

ドラマの物語があまりに奇想天外過ぎてこれって実話なの?とビックリ仰天してしまいますが、これはあくまでドラマの演出で実話ではありません。

コーエン兄弟の映画版でも冒頭でテロップで実話であると出てきますが、これも演出のひとつ。映画版もドラマ版も完全なフィクションですが、冒頭に実話であると出てくるだけで一気に物語に引き込まれてしまうので、効果のある演出と言えますよね。

『FARGO/ファーゴ』シーズン4キャスト

ロイ・キャノン(クリス・ロック)

カンザスシティの黒人ギャングのリーダーで、キャノン有限会社の所有者。人種差別に耐えながら、イタリア系ギャングとの泥沼の抗争に足を踏み入れていくことになる。

エセルリダ・スマトニー(イマイリ・クラッチフィールド)

白人の父と黒人の母を持つ聡明な高校生で、向かいに住むオラエッタの正体を知ることになる。葬儀屋を営む両親をピンチから救うため、ロイ・キャノンと掛け合う度胸を持ち合わせている。

ジョスト・ファッダ(ジェイソン・シュワルツマン)

イタリア系ギャングのファッダ家の長男で、父親亡き後は組織を仕切っている。イタリアからやって来た問題児の弟ガエターノの勝手な行動に、いつも頭を悩ませることになる。

ラビ・ミリガン(ベン・ウィショー)

かつてアイルランド系ギャングとイタリア系ギャングの抗争が激しかった時代に、ファッダ家にトレードされたアイルランド系ギャングの息子。黒人ギャングからトレードされたサッチェルに同情し、自分と同じような目に合わせないようにと守り抜く。

オラエッタ・メイフラワー(ジェシー・バックリー)

病院で患者を次々と殺害し、戦利品に遺品を盗み殺した相手の葬式に平然と出席するサイコパスな女性。エセルリダに正体を知られたことで、次第に追い詰められていく。

ガエターノ・ファッダ(サルヴァトーレ・エスポジト)

ジョストの弟で血の気の多い問題児。ジョストに反発して勝手な行動を取ったことで、イタリア系ギャング内が分裂していくことになる。

 

『FARGO/ファーゴ』シーズン4の見どころ

『ファーゴ』は女性が活躍するドラマ

 

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シーズン1~4を通して『ファーゴ』は女性が活躍するドラマなのが魅力。シーズン4では二か国語を操る、聡明な葬儀屋の娘エセルリダが影で活躍します。

殺人看護師オラエッタの正体を知り、オラエッタの起こした事件とギャング抗争を上手く利用して両親の葬儀屋のピンチを救う手腕が素晴らしい!

人種差別の激しい時代に白人の父親を持ちながら、黒人として扱われ虐げられる少女が知恵と勇気を持って行動を起こす展開に拍手したくなりました。

人種差別が激しい50年代

1950年代は公民権運動前で、人種差別がものすごく激しかった時代です。黒人だけでなく、イタリア系、アイルランド系、ユダヤ系というだけで虐げられ差別されている様子が描かれています。

見た目は白人のアイルランド系やユダヤ系ですらこんなに激しい差別を受けていたのですから、黒人の差別がどれだけ激しかったか想像に難しくありません。

つい最近『ブラック・ライヴ・マター』のデモが世界中に広がったばかりで、70年経った現在も昔と根本的に変わっていないでは?と、人種差別に対して改めて考えさせられます。


看護師オラエッタの物語

 

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シーズン4の物語の軸は、イタリア系ギャングと黒人ギャングのギャング抗争です。

ギャングの物語を中心に殺人看護師オラエッタの物語が描かれ、一見ギャングの話と何の関係があるの?と思いますがエピソードを重ねるにつれてギャングの抗争とシンクロしていきます。

その他にもエセルリダの脱獄した叔母、トレードされた過去を持つアイルランド人のラビ、戦争経験のせいでトゥレット症を発症したオーディスなど、数多くのサブプロットが登場しギャングの物語を引き立てています。

『ファーゴ』はサブプロットが卓越したドラマで、緻密に練られた脚本が魅力です。

ダイナースカード

ドラマ内で、黒人ギャングのロイ・キャノンが思いつくビジネスがクレジットカード。

ツケで料金を支払うクレジットカードの元になるアイディアを思いつき、そのカード名がダイナースカードです。

日本ではダイナースクラブとして知られていますが、調べてみるとダイナースカードは第2次世界大戦後の1950年にアメリカの実業家マクナマラと友人の弁護士シュナイダーによって設立されたそうです。

物語ではキャノンがクレジットカードを思いつく展開でしたが、もしや黒人ギャングがクレジットカードのアイディアの発祥?という逸話があったりして…、などと想像が膨らみました。

『FARGO/ファーゴ』シーズン4のネット上での評判は?

『FARGO/ファーゴ』シーズン4まとめ

物語としてはものすごくおもしろかったですが、テンポが悪かった!このスローテンポについていけずに脱落してしまう人もいるかも…、というくらいテンポが遅かったのが残念。

全11話なので、全9話くらいにまとめてテンポよく描いたらもっとスリリングな雰囲気が伝わってのかも?という気がします。

個人的にはイタリア系ギャングにトレードされた、アイルランド人のラビが男気があってよかったですね♡スローテンポですが、シーズン1~3を楽しんだ『ファーゴ』ファンなら楽しめると思います。

 

 

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